中古のボートやジェットスキー(水上オートバイ)を購入したり、知人から船を譲り受けたりした場合、「名義変更はどうすればいいの?」と迷うことがあります。
すでに登録されている小型船舶の所有者が変わった場合に行う手続きが、「移転登録」です。
小型船舶の登録等に関する法律では、登録小型船舶の所有者に変更があった場合、新しい所有者は、その事由があった日から15日以内に移転登録を申請する必要があります。
この記事では、中古ボートやジェットスキーの売買・譲渡を中心に、小型船舶の移転登録が必要になるケース、必要書類、手数料や注意点について解説します。
この記事のポイント
- 登録済みの小型船舶の所有者が変わった場合は「移転登録」が必要です
- 売買・贈与・相続などによる所有者変更が対象になります
- 新所有者は、所有者変更の日から15日以内に申請する必要があります
- 売主・買主それぞれの印鑑証明書には発行時期の要件があります
- 移転登録のJCI手数料は3,350円です
- 相続や共同所有、外国人が関係する場合などは、通常の売買と必要書類や手続きが異なることがあります
小型船舶の「名義変更」とは?
一般に「船の名義変更」と呼ばれる手続きは、登録制度上の移転登録にあたります。
すでに登録されている小型船舶について、売買や贈与、相続などによって所有者そのものが変わった場合に行う手続きです。
一方、所有者は同じままで住所や氏名・名称、船籍港などが変わった場合は、原則として「変更登録」の対象になります。
| ケース | 主な手続き |
|---|---|
| 中古ボートを購入した | 移転登録 |
| ジェットスキーを譲り受けた | 移転登録 |
| 船舶の贈与を受けた | 移転登録 |
| 船舶を相続した | 移転登録 |
| 同じ所有者が引っ越した | 変更登録 |
| 同じ所有者の氏名・名称が変わった | 変更登録 |
「所有者そのものが変わったのか」「所有者は同じで登録事項が変わったのか」を確認することが、手続きを判断する第一歩です。
移転登録は15日以内に申請
登録されている小型船舶について所有者が変わった場合、移転登録を行うのは新しい所有者(買主・譲受人)です。
小型船舶の登録等に関する法律第10条では、新所有者は、所有者変更の事由があった日から15日以内に移転登録を申請しなければならないとされています。
中古艇を購入した場合も、旧所有者の名義のままにせず、期限内に手続きを行うことが大切です。
名義変更が行われていないと、JCIからの船舶検査の案内が旧所有者へ送られたり、船舶が事件・事故等に関係した場合に登録上の旧所有者の情報が関係機関へ提供されたりすることがあります。
売主側も、譲渡後に移転登録が完了したか確認しておくと安心です。
中古ボート・ジェットスキーの移転登録に必要な書類
通常の売買による移転登録では、主に次のような書類を準備します。
| 誰が用意する? | 主な書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 買主(新所有者) | 変更・移転登録申請書 | 新所有者が申請者になります |
| 買主(新所有者) | 印鑑証明書 | JCI受付日から3か月前の日以降に発行されたもの |
| 買主(新所有者) | 委任状 | 行政書士など代理人へ依頼する場合 |
| 売主(旧所有者) | 譲渡証明書 | 売主の実印を押印します |
| 売主(旧所有者) | 印鑑証明書 | 譲渡年月日前3か月以内に発行されたもの |
| 売主側から引き継ぐもの | 船舶検査証書 | 現在の船舶情報を確認します |
| 売主側から引き継ぐもの | 船舶検査手帳 | 船舶検査証書とあわせて確認します |
| ケースにより必要 | その他の証明書類 | 住所変更や特殊な登録がある場合など |
必要書類は個別の事情によって変わるため、実際の申請時には最新のJCI案内を確認する必要があります。
買主の印鑑証明書
買主(新所有者)の印鑑証明書は、申請日(JCI支部に申請書が到着する日)から3か月前の日以降に発行されたものを用意します。
郵送申請の場合は、申請書を発送する日ではなく、JCIに到着して受付される日を基準に考える必要があります。
売主の印鑑証明書
売主(譲渡人)の印鑑証明書は、譲渡年月日前3か月以内に発行されたものが必要です。
買主側とは基準となる日が異なるため注意しましょう。
譲渡証明書
譲渡証明書には、対象となる船舶や譲渡年月日などを記載し、売主(譲渡人)が実印を押印します。
個人間売買では、船舶そのものだけでなく、移転登録に必要な書類まで確実に受け取っておくことが重要です。
売主の住所が登録時から変わっている場合は注意
中古船舶の個人売買で特に注意したいのが、売主が登録後に引っ越しているケースです。
たとえば、
- 登録上の住所:東京都○○区
- 現在の印鑑証明書の住所:東京都△△区
となっている場合、登録上の所有者と現在の譲渡人が同一人物であることを、住所のつながりから確認する必要があります。
住民票や戸籍の附票など、旧住所から現在の住所までのつながりを確認できる書類が必要になる場合があります。
売主から書類を受け取ったら、氏名だけでなく、登録されている住所と現在の印鑑証明書の住所が一致しているかも確認しておきましょう。
移転登録の手数料はいくら?
移転登録のJCI登録手数料は、3,350円です。
船名など、船舶検査証書の記載事項も変更する場合には、別途4,350円の書換手数料が必要になることがあります。
たとえば、所有者変更と同時に船名も変更する場合は、
- 移転登録手数料:3,350円
- 書換手数料:4,350円
- 合計:7,700円
が一つの目安になります。
一方、変更事項が船舶所有者名・住所・船籍港のみで、船名などその他の事項に変更がない場合には、書換申請および書換手数料は不要です。
※上記はJCIへ納付する手数料です。行政書士等へ手続きを依頼する場合の報酬や郵送費等は別途必要です。
船名も変える場合は別の手続きが必要
中古艇の購入を機に、船名も新しくしたいというケースがあります。
船名は小型船舶の登録事項ではないため、船名変更そのものについて「変更登録」を行うわけではありません。
一方、船舶検査証書には船名が記載されているため、船名を変更する場合には船舶検査証書の書換手続きが必要です。
所有者変更と同時に船名も変更する場合は、移転登録だけでなく、書換申請も忘れないようにしましょう。
移転登録は郵送でも申請できる
小型船舶の名義変更は、JCIの窓口だけでなく郵送で申請することもできます。
船舶検査や新規登録では、船舶の検査・現認を伴うため、所定のJCI支部への申請が必要です。
一方、変更・移転登録のように船舶の現認を伴わない手続きについては、申請方法の選択肢が広く、郵送で進めることも可能です。
具体的な提出先については、申請時点のJCIの案内を確認してください。
船舶検査の状況も確認
中古艇を取得した場合には、登録上の名義だけでなく、船舶検査の状況も確認しておきましょう。
JCIでは、中古艇購入時には登録制度上の変更・移転登録に加えて、検査制度上の船舶検査証書の所有者の書換が必要と案内しています。
また、検査が切れている場合には、定期検査や中間検査が必要になることがあります。
船舶検査証書や船舶検査手帳を確認し、現在の検査状況を把握したうえで手続きを進めることが大切です。
外国人・海外居住者が関係する場合
外国人や海外居住者が売主・買主となる場合は、通常の国内売買とは必要書類が異なることがあります。
たとえば、日本の印鑑証明書を用意できない場合には、サイン証明書などによる対応を検討するケースがあります。
また、氏名・住所の表記や本人確認方法などについても個別の確認が必要になることがあります。
通常の売買より確認事項が増える可能性があるため、事前に必要書類を確認したうえで進めると安心です。
相続による名義変更は通常の売買と異なる
船舶の所有者が亡くなり、相続によって所有者が変わる場合も移転登録の対象です。
ただし、売買の場合のように譲渡証明書を用意するのではなく、相続関係や船舶を取得する相続人を確認するための書類が必要になります。
また、相続のほか、
- 共同所有となる場合
- 未成年者が関係する場合
- 利益相反行為にあたる場合
- 法人の合併・分割などによる承継
- 会社の清算・破産などが関係する場合
などについては、JCIが「特殊な登録」として案内しています。
このようなケースでは、通常の売買とは必要書類や手続きが異なることがあるため、JCIの登録事務支援センターへ事前に確認したうえで手続きを進めると安心です。
小型船舶の名義変更で困ったら
中古ボートやジェットスキーなど、すでに登録されている小型船舶の所有者が変わった場合には、原則として所有者変更の日から15日以内に移転登録を行う必要があります。
通常の売買でも、
- 売主の住所が登録内容と異なる
- 印鑑証明書が要件を満たしていない
- 譲渡証明書の記載に不備がある
- 船名も変更したい
- 船舶検査の時期を迎えている
といった事情によって、必要な対応が増えることがあります。
相続や外国人・海外居住者が関係する場合などは、さらに確認事項が増えることがあります。
Aime行政書士事務所では、小型船舶の移転登録(名義変更)について、必要書類の確認から申請手続きまでサポートしています。
中古ボートやジェットスキーの売買・譲渡後の手続きでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
※船舶の登録状況・検査状況・取引内容等によって必要書類や手続きは異なります。個別の状況を確認したうえでご案内します。
よくある質問
中古のジェットスキーを個人売買した場合も移転登録が必要ですか?
登録されているジェットスキーについて、売買によって所有者が変わった場合には移転登録が必要です。
売主と買主のどちらが申請するのですか?
移転登録の申請義務を負うのは、新しい所有者(買主・譲受人)です。
名義変更はいつまでにすればよいですか?
所有者変更の事由があった日から15日以内に移転登録を申請する必要があります。
買主の印鑑証明書はいつ取得すればよいですか?
JCIの受付日から3か月前の日以降に発行されたものが必要です。
郵送の場合はJCIへの到着日を考慮し、余裕をもって新しい印鑑証明書を取得すると安心です。
売主の印鑑証明書も発行から3か月以内ですか?
売主の場合は、譲渡年月日前3か月以内に発行されたものが必要です。
買主の印鑑証明書とは基準日が異なるため注意しましょう。
移転登録の手数料はいくらですか?
JCIへ納付する移転登録手数料は3,350円です。
船名変更などに伴い船舶検査証書の書換が必要な場合には、別途4,350円の書換手数料がかかることがあります。
郵送でも申請できますか?
はい。小型船舶の変更・移転登録は郵送で申請することができます。
具体的な提出先や返送方法については、申請時点のJCIの案内を確認してください。
相続した船も移転登録になりますか?
はい。すでに登録されている小型船舶について、相続によって所有者が変わった場合も移転登録の対象です。
ただし、通常の売買とは必要書類が異なるため、相続関係を確認したうえで手続きを進める必要があります。
まとめ
中古ボートやジェットスキーなど、すでに登録されている小型船舶の所有者が変わった場合には、移転登録が必要です。
移転登録は新所有者が行い、所有者変更の事由があった日から15日以内に申請します。
通常の売買では、譲渡証明書や売主・買主の印鑑証明書などを準備しますが、印鑑証明書については買主と売主で基準となる日が異なるため注意が必要です。
また、売主の住所変更、船名変更、船舶検査の状況などによって追加の確認や手続きが必要になることがあります。
相続や外国人・海外居住者が関係する場合などは、通常の個人間売買とは必要書類等が異なることもあります。
必要な手続きが分からない場合は、船舶の登録状況や取引内容を確認したうえで進めるようにしましょう。

