私文書にアポスティーユを付ける方法|公証役場・必要書類・費用を解説

アポスティーユ

海外へ契約書や委任状、会社が作成した証明書などを提出する際、「アポスティーユを付けてください」と案内されることがあります。

戸籍謄本や住民票など、一定の要件を満たす公文書は外務省へ直接アポスティーユを申請できます。

一方、個人や会社が作成した私文書は、そのままでは外務省の証明対象になりません。

一般に「私文書にアポスティーユを付ける」と呼ばれる手続きでは、まず公証役場で私文書について公証人の認証を受け、原則として法務局・地方法務局の公証人押印証明を経たうえで、外務省のアポスティーユを取得します。

この記事のポイント

  • 私文書はそのままでは外務省へアポスティーユを申請できない
  • 基本の流れは公証人の認証 → 公証人押印証明 → アポスティーユ
  • 一部地域では3つの手続きをまとめて行うワンストップサービスがある
  • 私署証書の認証は代理人が手続きできる場合がある
  • 宣誓認証は本人の出頭が必要
  • 公証人の手数料は文書や認証方法によって異なる
  • 外務省のアポスティーユ申請自体の手数料は無料

この記事では、私文書にアポスティーユが必要になった場合の手順、必要書類、ワンストップサービス、代理認証、費用、期間について解説します。

アポスティーユと公印確認・領事認証の違いから確認したい方は、「アポスティーユとは?公印確認との違いや必要になる場面をわかりやすく解説」をご覧ください。

アポスティーユが必要になる「私文書」とは?

海外提出書類の認証を考える際は、まず手元の書類が「公文書」なのか「私文書」なのかを確認します。

戸籍謄本、住民票、登記事項証明書など、国や地方自治体などの公的機関が発行した書類は、公文書の代表例です。

これに対し、個人や会社などが作成した書類は私文書に当たります。

海外提出で公証人の認証が問題になりやすい私文書には、たとえば次のようなものがあります。

  • 委任状
  • 同意書
  • 宣言書・宣誓供述書
  • 契約書
  • 会社が作成した証明書
  • 会社の定款・決算書など
  • パスポート等の写し
  • 翻訳文を添付した文書

外務省も、会社の定款や決算書などの私文書については直接認証できず、公証人の認証等を経る手続きが必要になると案内しています。

公文書と私文書の違い

公文書 私文書
主な例 戸籍謄本、住民票、登記事項証明書など 契約書、委任状、会社作成書類など
主な作成・発行者 国・自治体などの公的機関 個人・会社など
外務省へ直接申請 要件を満たせば可能 そのままでは不可
主な流れ 外務省でアポスティーユ等 公証人認証 → 公証人押印証明 → 外務省

戸籍謄本や住民票の手続きについては、「戸籍謄本・住民票にアポスティーユを付ける方法|必要書類・翻訳・申請の流れ」で詳しく解説しています。

私文書にアポスティーユを付ける基本的な流れ

通常は、次の順番で手続きを進めます。

1.提出先が求める認証を確認

2.公証役場で公証人の認証

3.法務局で公証人押印証明

4.外務省でアポスティーユ

5.海外の提出先へ提出

一部地域では、公証人の認証から外務省のアポスティーユまでを公証役場でまとめて取得できるワンストップサービスがあります。

1.提出先が求める認証を確認する

最初に、提出先から届いた案内、メール、チェックリストなどを確認します。

特に確認しておきたいのは次の点です。

  • 提出する書類の名称
  • アポスティーユが必要か
  • 公証人の認証が必要か
  • 原本と写しのどちらを提出するか
  • 翻訳が必要か
  • 翻訳にも認証が必要か
  • 本人による面前署名を求められているか
  • 提出期限

提出先国がハーグ条約の締約国であっても、まずは提出先から指定された書類や認証方法を確認したうえで手続きを進めましょう。

あわせて、利用予定の公証役場にも事前に問い合わせておくとスムーズです。公証役場によっては予約が必要な場合があるほか、文書の内容や認証方法によって必要書類や本人出頭・代理認証の可否が異なります。

2.公証役場で公証人の認証を受ける

私文書は、公証役場で公証人による認証を受けます。

一般的な私署証書の認証では、署名や記名押印が本人の意思に基づくものであること、すなわち文書の成立の真正を公証人が認証します。

認証方法には、本人が公証人の面前で署名等をする方法、本人が自分の署名等であることを認める方法のほか、代理人が本人の署名等であることを認める「代理認証」もあります。

3.法務局で公証人押印証明を受ける

通常の手続きでは、公証人の認証後、その公証人が所属する法務局・地方法務局で「公証人押印証明」を取得します。

外務省は、公証人が認証した私文書について、所属する法務局長・地方法務局長による公証人押印証明があれば、公証人が認証した公文書として外務省の証明を取得できると案内しています。

4.外務省でアポスティーユを取得する

公証人の認証と公証人押印証明を経た後、提出先がアポスティーユを求めている場合は外務省へ申請します。

アポスティーユは、ハーグ条約に基づく外務省の認証です。

一方、提出先から領事認証を求められている場合には、アポスティーユではなく外務省の公印確認を取得し、その後に駐日外国大使館・総領事館等で領事認証を受ける流れとなります。

私文書の公証人認証に必要な書類は?

公証役場へ持参する資料は、署名者が個人か法人か、本人が出頭するか代理人が手続きするかによって異なります。

以下は、日本公証人連合会が案内している一般的な例です。

ケース 主な必要資料
個人・本人が出頭 認証を受ける文書+本人確認資料。たとえば、印鑑登録証明書と実印、運転免許証と認印、マイナンバーカードと認印、パスポート等と認印のいずれか
個人・代理人が出頭 認証を受ける文書、本人の実印を押した委任状、本人の印鑑登録証明書、代理人の本人確認資料
法人代表者が出頭 認証を受ける文書、代表者の資格証明書または法人の登記事項証明書、代表者印とその印鑑証明書など
法人・代理人が出頭 法人の登記事項証明書等、代表者から代理人への委任状、代表者印の印鑑証明書、代理人の本人確認資料など

印鑑登録証明書、法人の登記事項証明書等については、発行後3か月以内のものが求められます。

実際に必要な資料は、文書の内容、署名者、認証方法によって異なります。公証役場へ行く前に、認証を受けたい文書を示して必要書類を確認しておくとスムーズです。

行政書士などの代理人に任せることはできる?

一般の私署証書では、一定の要件を満たせば代理認証を利用できる場合があります。

個人について代理人が認証を受ける場合、日本公証人連合会は、本人の実印を押した委任状、本人の印鑑登録証明書、代理人の本人確認資料などを必要資料として案内しています。

ただし、日本で代理認証が可能であっても、海外の提出先が署名者本人による面前署名を要求している場合には、代理認証では足りないことがあります。

そのため、代理を利用する場合は、公証役場だけでなく提出先の指定も確認する必要があります。

宣誓認証は代理人では手続きできない

宣誓認証は、文書を作成した本人が公証人の面前で、文書の記載が真実であることを宣誓する制度です。

宣誓認証は本人自身が公証人の面前で宣誓する必要があり、代理人による嘱託は認められていません。

また、宣誓認証では同一内容の証書を2通提出する必要があります。

ワンストップサービスなら法務局・外務省へ行かなくてよい

一部地域の公証役場では、申請者からの要請により、

公証人による認証

法務局の公証人押印証明

外務省のアポスティーユまたは公印確認

を一度に取得できる「ワンストップサービス」が利用できます。

2026年8月現在、外務省が案内している対象地域は次のとおりです。

  • 北海道(札幌法務局管区内)
  • 宮城県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 静岡県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 福岡県

ワンストップサービスを利用すれば、別途法務局や外務省へ出向く必要はありません。

ただし、公印確認を取得する場合には、その後に駐日外国大使館・総領事館等で領事認証を受ける必要があります。

埼玉・千葉など7県は「公証+押印証明」まで一括

埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・千葉県・長野県・新潟県の公証役場では、

公証人の認証 + 法務局長による公証人押印証明

までを一度に取得できます。

この7県では、その後に外務省で公印確認またはアポスティーユの手続きを行います。

私文書のアポスティーユにはいくらかかる?

私文書の場合、公証役場での認証手数料などがかかります。

外務省への公印確認・アポスティーユ申請自体の手数料は無料です。

郵送で申請する場合は、返送用封筒などの郵送料が必要です。

公証人の認証手数料

公証人の認証手数料は、文書や認証方法によって異なります。

認証の種類・文書 公証人手数料の例
契約書等の私署証書の認証 11,000円※
金額の記載がなく算定不能となる書面の例 6,500円
委任状の認証 4,000円
宣誓認証 11,000円
私署証書の謄本認証 5,000円
外国語で作成された私署証書 上記の認証手数料に6,000円加算

※契約書等の私署証書の認証は11,000円ですが、その内容を公正証書にした場合の手数料の半額が11,000円を下回る場合は、その下回る額となります。

このほか、行政書士等へ手続きを依頼する場合の報酬、郵送料、翻訳、公証に必要な書類の取得費用、領事認証等が必要な場合の実費などがかかることがあります。

私文書のアポスティーユにはどのくらい期間がかかる?

必要な期間は、公証人による認証方法、ワンストップサービスを利用できるか、書類に不備がないかなどによって変わります。

通常ルートで外務省へ申請する場合、外務省は、郵送申請について、書類に不備がなく追加確認が不要であれば、原則として受領した3開庁日後に証明済み書類を発送すると案内しています。

窓口申請の場合も、不備等がなければ、原則として受付から3開庁日後に郵送で返却され、窓口受取を希望する場合は4開庁日後以降の受取となります。

ただし、その前に公証役場での確認・認証が必要になるため、私文書の手続き全体が3開庁日で終わるという意味ではありません。

海外への提出期限が決まっている場合は、公証役場への事前確認や郵送日数も考慮して、余裕をもって準備しましょう。

公文書に翻訳を付ける場合は注意

戸籍謄本や住民票などの公文書を海外へ提出する際、英訳などを一緒に提出することがあります。

ここで注意したいのが、公文書と翻訳文を一体の書類として外務省に認証してもらいたい場合です。

外務省の申請前チェックシートでは、公文書等に翻訳を添付した場合は私文書として扱われると案内されています。

そのため、必要な対応は、提出先が日本語原本だけへのアポスティーユを求めているのか、翻訳文にも認証を求めているのかによって変わります。

戸籍謄本・住民票の翻訳については、「戸籍謄本・住民票の英訳は自分でできる?翻訳証明と提出前の確認事項」もあわせてご覧ください。

海外提出書類の翻訳をご依頼いただく場合は、法律翻訳・契約書翻訳サポートもご確認ください。

よくある質問

パスポートのコピーにアポスティーユは付けられる?

外務省は、パスポートや在留カードの原本に認証を付けることは難しいと案内しています。

提出先に確認したうえで、必要であれば写しについて公証人の認証を受け、公証人押印証明、外務省の認証へと進む方法があります。

アポスティーユがあれば書類の内容も正しいと証明される?

いいえ。外務省の認証は、公文書の作成の真正性を確認するものであり、文書に記載された内容そのものが正しいことを保証する制度ではありません。

私文書について公証人の認証を受ける場合も、認証方法によって証明される内容が異なります。

ワンストップサービスなら本人が公証役場へ行かなくてもよい?

必ずしもそうではありません。

一般の私署証書では代理認証が可能な場合がありますが、宣誓認証では本人が公証人の面前で宣誓する必要があります。また、提出先が本人による面前署名を指定している場合には、代理認証では足りないことがあります。

外国語で作成した書類も公証できる?

外国語で作成された私署証書も公証人による認証の対象となり得ます。

ただし、外国文の認証では通常の認証手数料に外国文加算がかかります。また、提出先が認証方法や署名方法を指定していることもあるため、事前に確認してから進めることが重要です。

まとめ

個人や会社が作成した私文書は、そのまま外務省へ持ち込んで直接アポスティーユを取得することはできません。

基本的な流れは、

公証役場で公証人の認証

法務局で公証人押印証明

外務省でアポスティーユ

です。

一部地域ではワンストップサービスを利用でき、代理認証が可能な書類もあります。一方、宣誓認証や、提出先が本人の面前署名を指定している場合など、本人の対応が必要になるケースもあります。

まず提出先の案内と手元の書類を確認し、その書類に必要な公証・認証手続きを整理してから進めることが大切です。

私文書の公証・アポスティーユでお困りの方へ

Aime行政書士事務所では、提出先から示された案内・指定内容と書類を確認し、日本国内で必要となる公証・認証手続きの流れを整理してサポートしています。

たとえば、次のような場合にご相談いただけます。

  • 自分の書類が公文書・私文書のどちらに当たるのか分からない
  • 公証役場、法務局、外務省のどこで手続きすればよいか分からない
  • 代理認証ができるか確認したい
  • 必要書類を整理してほしい
  • 海外提出用の翻訳や翻訳証明もあわせて相談したい
  • 提出期限があり、手続きの順番を確認したい

私文書の認証・アポスティーユ:27,500円~(税込)

公証役場への事前確認、本人出頭・代理認証の可否確認、必要書類・本人確認資料のご案内、公証・アポスティーユ等の手続きをサポートします。

宣言書等の文案作成、翻訳、公証人手数料、本人出頭が必要な案件、領事認証などは、内容を確認のうえ別途お見積りします。

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参考情報

※本記事は2026年8月19日時点の公表情報をもとに作成しています。必要な認証方法や提出書類は、提出国、提出先機関、書類の種類等によって異なります。実際の手続きにあたっては、提出先、公証役場、外務省等の最新案内をご確認ください。