海外留学や海外大学院への進学、海外就職、資格登録などのため、日本の大学が発行した卒業証明書や成績証明書について「アポスティーユを付けてください」と求められることがあります。
ただし、大学の卒業証明書は、すべて同じ方法でアポスティーユを取得できるわけではありません。
現在の国立大学法人、公立大学法人、私立大学が発行した卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることができません。一方、大学法人に移行していない公立大学など、発行主体によっては外務省へ直接申請できる場合があります。
この記事のポイント
- 国立大学法人・公立大学法人・私立大学の卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けられない
- 公立大学は、法人化しているかどうかによって取扱いが変わる
- 直接アポスティーユできない場合でも、公証人の認証を経て取得する方法がある
- 大学法人・私立大学の学生向け証明書は、公印確認の対象となる
- 英文証明書でも、公印がなく署名だけのものは外務省の認証を受けられない
- 学位記など一度しか発行されない書類には、発行後3か月以内という原則の例外がある
この記事では、卒業証明書にアポスティーユを付ける場合の大学別の違い、公証役場での手続き、ワンストップサービス、必要書類、費用、英文証明書や翻訳の注意点まで解説します。
- まず確認|自分の大学の卒業証明書は直接アポスティーユできる?
- 国立大学の卒業証明書はどうなる?
- 公立大学は法人化しているかを確認する
- 私立大学の卒業証明書はどうする?
- 外務省へ直接アポスティーユできない場合の手続き
- 公証人の認証が必要な場合はワンストップサービスを利用できる地域もある
- 卒業証明書を取得する前に確認したいこと
- 外務省へ直接アポスティーユを申請する場合の必要書類
- アポスティーユ取得にはどのくらいかかる?
- 英文の卒業証明書ならそのまま認証できる?
- 電子の卒業証明書でもアポスティーユを取得できる?
- 学位記・卒業証書の原本にもアポスティーユを付けられる?
- 卒業証明書に翻訳は必要?
- 卒業証明書のアポスティーユにかかる費用
- よくある質問
- まとめ
- 卒業証明書・成績証明書のアポスティーユでお困りの方へ
- 参考情報
まず確認|自分の大学の卒業証明書は直接アポスティーユできる?
卒業証明書について最初に確認したいのは、証明書を発行した大学の設置主体・発行主体です。
| 発行機関 | 公印確認 | 外務省から直接アポスティーユ |
|---|---|---|
| 国立大学法人 | ○ | × |
| 公立大学法人 | ○ | × |
| 大学法人に移行していない公立大学等 | ○ | ○となる場合あり |
| 私立大学 | ○※ | × |
※私立大学について、外務省が直接公印確認できるのは、卒業証明書・修了証明書・成績証明書などの学生向け証明書です。在職証明書や推薦状などは同じ取扱いではありません。
また、直接アポスティーユの対象となる発行機関の書類でも、外務省の認証を受けるためには、発行日、発行機関・発行者、公印などの要件を満たす必要があります。
国立大学の卒業証明書はどうなる?
「国立大学だから国の公文書として、そのままアポスティーユを付けられるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、国立大学は平成16年(2004年)4月に国立大学法人へ移行しました。
そのため、現在の国立大学法人が発行する卒業証明書や成績証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることができません。
提出先からアポスティーユを求められている場合は、公証人の認証を経てアポスティーユを取得する方法を検討します。
一方、法人移行前に発行された学位記などについては、直接アポスティーユの対象となる場合があります。
同じ国立大学の書類でも、現在発行された卒業証明書なのか、法人化前に発行された学位記なのかによって取扱いが異なる場合がある点に注意が必要です。
公立大学は法人化しているかを確認する
公立大学は、国立大学とは事情が異なります。
平成16年(2004年)に公立大学法人制度が設けられましたが、公立大学は一斉に法人化されたわけではありません。現在も、公立大学法人が設置する大学と、地方公共団体が直接設置する大学があります。
公立大学法人が発行した卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることができません。
一方、大学法人に移行していない公立大学が発行した証明書は、外務省の要件を満たせば直接アポスティーユの対象となる場合があります。
公立大学を卒業した方は、大学名だけで判断せず、大学の公式サイトなどで現在の設置者・発行主体を確認しましょう。
私立大学の卒業証明書はどうする?
私立大学が発行した卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることはできません。
アポスティーユが必要な場合は、公証役場で公証人の認証を受けたうえで、アポスティーユを取得する方法があります。
一方、卒業証明書・修了証明書・成績証明書など、学生向けの証明書については、外務省の公印確認の対象となります。
そのため、提出先から指定されている認証方法を確認し、それに応じた手続きを進めることが重要です。
外務省へ直接アポスティーユできない場合の手続き
国立大学法人・公立大学法人・私立大学が発行した卒業証明書など、外務省から直接アポスティーユを付けられない書類については、公証人の認証を経てアポスティーユを取得する方法があります。
↓
法務局・地方法務局で公証人押印証明
↓
外務省でアポスティーユ
公証人が認証した書類について、その公証人が所属する法務局・地方法務局長の公証人押印証明を受けることで、外務省のアポスティーユの対象となります。
なお、すべてのアポスティーユ申請で公証人の認証が必要なわけではありません。外務省へ直接アポスティーユを申請できる公文書であれば、公証役場を経由する必要はありません。
公証役場でどのような認証を受けるかは、証明書の形式や提出先から指定された内容によって異なります。提出先の案内と実際の証明書を確認したうえで、利用予定の公証役場へ事前に問い合わせておくとスムーズです。
公証人の認証が必要な場合はワンストップサービスを利用できる地域もある
公証人の認証を経てアポスティーユを取得する場合は、通常、公証役場での認証後に法務局・地方法務局の公証人押印証明を受け、さらに外務省へ申請します。
ただし、一部地域の公証役場では、これらの手続きをまとめて行えるワンストップサービスを利用できます。
2026年8月現在、ワンストップサービスを利用できるのは次の地域です。
- 北海道(札幌法務局管区内)
- 宮城県
- 東京都
- 神奈川県
- 静岡県
- 愛知県
- 大阪府
- 福岡県
これらの地域では、申請者からの要請があれば、公証人の認証、公証人押印証明、外務省のアポスティーユまたは公印確認を公証役場で一度に取得できます。
ワンストップサービスを利用すれば、公証役場での認証後に法務局や外務省へ別途出向く必要はありません。
なお、ワンストップサービスで公印確認を取得した場合は、その後、駐日大使館・総領事館で領事認証を受ける必要があります。
埼玉・千葉など7県は公証人押印証明まで一括で取得できる
埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、長野県、新潟県の公証役場では、公証人の認証+法務局長による公証人押印証明までを一度に取得できます。
これらの地域では、アポスティーユまたは公印確認については、その後、外務省へ申請します。
卒業証明書を取得する前に確認したいこと
大学へ卒業証明書を請求する前に、提出先から指定されている条件を確認しておくと、証明書の取り直しや認証方法の間違いを防ぎやすくなります。
- 卒業証明書が必要なのか
- 学位を証明する書類が必要なのか
- 成績証明書も必要なのか
- 日本語・英語のどちらで提出するのか
- 原本が必要か
- アポスティーユが必要か
- 公印確認・領事認証が必要か
- 公証人の認証が必要か
- 翻訳が必要か
- 提出期限
提出先からメールやチェックリストが届いている場合は、「Apostille」「Authentication」「Legalization」「Notarization」などの記載も確認しておきましょう。
なお、提出先国がハーグ条約の締約国であっても、提出先機関から領事認証を求められる場合があります。最終的には、提出先から指定された手続きに従うことが重要です。
外務省へ直接アポスティーユを申請する場合の必要書類
大学法人に移行していない公立大学などが発行した書類で、外務省へ直接アポスティーユを申請できる場合は、郵送申請では一般に次のものを用意します。
- 認証を受ける卒業証明書等の原本
- アポスティーユ申請書
- 代理申請の場合は委任状
- 返送先を記載したレターパック等の返送用封筒
外務省が直接認証する公文書は、原則として発行日から3か月以内の原本で、発行日、発行機関・発行者が記載され、公印が押されている必要があります。
窓口で申請する場合は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなどの顔写真付き本人確認書類も必要です。
外務省へのアポスティーユ・公印確認申請自体の手数料は無料です。
アポスティーユ取得にはどのくらいかかる?
外務省へ郵送申請する場合、書類に不備がなく追加確認が不要であれば、原則として外務省が受領した3開庁日後に証明済み書類が発送されます。
窓口申請の場合も、原則として受付から3開庁日後に郵送で返却されます。窓口での受取りを希望する場合は、4開庁日後以降となります。
ただし、国立大学法人・公立大学法人・私立大学の証明書など、公証人の認証を経る場合は、その前に公証役場での事前確認や認証が必要です。
大学から証明書を取り寄せる期間や郵送日数もあるため、提出期限が決まっている場合は余裕をもって準備しましょう。
英文の卒業証明書ならそのまま認証できる?
英文で発行されているだけでは、外務省の認証を受けられるとは限りません。
外務省は、英文の卒業証明書について、学校長等の署名のみで公印がない場合は認証できないと案内しています。
そのため、海外提出用の証明書を大学へ請求する際は、英文で発行できるかだけでなく、必要に応じて公印が押された証明書を発行できるかも確認しておきましょう。
なお、公印が押されていても、国立大学法人・公立大学法人・私立大学の証明書に外務省から直接アポスティーユを付けられるようになるわけではありません。
電子の卒業証明書でもアポスティーユを取得できる?
大学によっては、卒業証明書や成績証明書をオンラインで発行できるサービスが導入されています。
しかし、電子で発行された卒業証明書や成績証明書は、そのまま外務省の認証に使用できるとは限りません。
外務省は、専用アプリ「POPITA」で真正性を確認できる電子透かしが埋め込まれた大学等の証明書について、現在のところ受け付けることができないと案内しています。
アポスティーユや公印確認に使用する予定がある場合は、大学へ証明書を請求する段階で、外務省の認証に使用できる形式か確認しておきましょう。
学位記・卒業証書の原本にもアポスティーユを付けられる?
学位記や卒業証書の原本についても、発行主体などの要件を満たせば外務省の認証対象となる場合があります。
通常、外務省が直接認証する公文書は発行後3か月以内のものが原則ですが、学位記のように一度しか発行されない書類については例外があります。
ただし、学位記の原本に外務省の認証印を付けると、その認証を後から取り消すことはできません。
外務省も、学位記そのものを認証する前に、提出先へ卒業証明書などで代用できないか確認することを勧めています。
再発行できない学位記や手元に残しておきたい卒業証書は、いきなり原本へ認証を付ける前に、提出先が本当にその原本を求めているのか確認しましょう。
卒業証明書に翻訳は必要?
卒業証明書に翻訳が必要かどうかは、提出先の指定によって異なります。
大学が発行した英文卒業証明書をそのまま提出できる場合もあれば、日本語の卒業証明書に英訳を添付するよう求められる場合もあります。さらに、翻訳証明や公証人による認証が必要となることもあります。
なお、アポスティーユは公印等を証明する制度であり、卒業証明書の内容を外国語へ翻訳したり、翻訳の正確性を証明したりするものではありません。
そのため、アポスティーユとは別に、
- 大学発行の英文卒業証明書でよいか
- 日本語の卒業証明書に英訳を添付する必要があるか
- 翻訳証明が必要か
- 翻訳文について公証人の認証などが必要か
を確認しておきましょう。
原本だけにアポスティーユを付けて翻訳文を別に提出するのか、翻訳文を含めた認証が必要なのかによっても準備する書類が変わるため、翻訳を作成する前に提出先の案内を確認することが大切です。
卒業証明書のアポスティーユにかかる費用
外務省へのアポスティーユ・公印確認申請自体には手数料がかかりません。
ただし、公証人の認証を経る場合は公証人手数料などの実費が必要です。また、大学の証明書発行手数料、郵送料、翻訳費用などがかかる場合があります。
Aime行政書士事務所へご依頼いただく場合の料金目安は次のとおりです。
| 手続き | 料金 |
|---|---|
| 外務省へ直接申請できる公文書のアポスティーユ・公印確認 | 16,500円~(税込) |
| 公証人認証を伴うアポスティーユ | 27,500円~(税込)+公証人手数料等の実費 |
| 海外提出書類の英訳・翻訳証明 | 11,000円~(税込・1通) |
どの手続きになるかは、大学名だけではなく、証明書の発行主体・形式や提出先が求める認証方法によって異なります。
よくある質問
国立大学の卒業証明書に直接アポスティーユを付けられますか?
現在の国立大学法人が発行する卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることはできません。
提出先からアポスティーユを求められている場合は、公証人の認証と公証人押印証明を経てアポスティーユを取得する方法があります。
なお、法人化前に発行された学位記などは取扱いが異なる場合があります。
私立大学の卒業証明書にはアポスティーユを付けられないのですか?
私立大学が発行した卒業証明書に、外務省から直接アポスティーユを付けることはできません。
ただし、公証役場で公証人の認証を受け、法務局・地方法務局の公証人押印証明を経ることで、アポスティーユを取得する方法があります。
公立大学なら直接アポスティーユできますか?
一律には決まりません。
公立大学法人が発行した卒業証明書には外務省から直接アポスティーユを付けることはできませんが、大学法人に移行していない公立大学が発行した証明書は、外務省の要件を満たせば直接アポスティーユの対象となる場合があります。
まず大学の設置者・発行主体を確認しましょう。
大学発行の英文卒業証明書なら翻訳は不要ですか?
提出先が大学発行の英文卒業証明書を受け付けるのであれば、別途英訳が不要な場合があります。
ただし、提出先が翻訳証明や別の形式を指定している場合もあります。また、英文証明書であっても、公印がなく署名のみの場合は外務省の認証を受けることができません。
成績証明書や修了証明書も同じですか?
外務省は、卒業証明書、修了証明書、成績証明書などを学生向け証明書の例として挙げています。
ただし、発行機関や公印の有無、提出先が求める認証方法によって必要な手続きは異なります。
アポスティーユを取れば領事認証も必要ですか?
アポスティーユは、ハーグ条約に基づき、原則として駐日大使館・総領事館の領事認証を省略するための証明です。
ただし、提出先国がハーグ条約の締約国であっても、提出先から公印確認・領事認証を求められる場合があります。実際に必要な認証方法は、提出先の案内を確認してください。
まとめ
卒業証明書にアポスティーユを付ける場合は、大学が国立・公立・私立のどれかだけでなく、実際に証明書を発行している主体を確認することが重要です。
現在の国立大学法人、公立大学法人、私立大学が発行する卒業証明書には、外務省から直接アポスティーユを付けることはできません。
その場合は、
↓
公証人押印証明
↓
外務省のアポスティーユ
という方法があります。
一方、大学法人に移行していない公立大学などが発行した書類で、外務省の要件を満たす場合は、公証役場を経由せず直接アポスティーユを申請できることがあります。
また、私立大学等の学生向け証明書について領事認証を求められている場合は、外務省の公印確認を利用するルートもあります。
「どの大学が発行した、どの証明書を、どの国・機関へ、どのような認証を付けて提出するのか」を確認してから準備を始めることが、手続きの間違いを防ぐポイントです。
卒業証明書・成績証明書のアポスティーユでお困りの方へ
Aime行政書士事務所では、卒業証明書、成績証明書、修了証明書、在学証明書、学位記などについて、提出先から示された案内と実際の書類を確認し、日本国内で必要となる認証手続きを整理してサポートしています。
- 自分の大学の卒業証明書に直接アポスティーユを付けられるか分からない
- 私立大学・国立大学法人の証明書にアポスティーユを求められた
- 公証役場での認証が必要なのか分からない
- 英文卒業証明書を取得すればよいのか確認したい
- 成績証明書もまとめて認証したい
- 海外提出用の英訳・翻訳証明もあわせて相談したい
お問い合わせの際は、大学名、証明書の名称、提出する国・機関、提出期限、提出先から届いた案内などを、分かる範囲でお知らせください。
参考情報
- 外務省「申請手続きガイド 1 証明できる書類」
- 外務省「申請手続きガイド 2 申請の流れ」
- 外務省「申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類」
- 外務省「よくあるご質問」
- 文部科学省「国立大学の法人化の経緯」
- 文部科学省「公立大学基礎データ」
※本記事は2026年8月時点の公表情報をもとに作成しています。大学の設置主体、証明書の形式、提出国・提出先機関の指定などによって必要な手続きは異なります。実際の申請にあたっては、提出先、大学、公証役場、外務省等の最新案内をご確認ください。


