内容証明の上手な利用方法とは?どんなときに使うべきかを解説

内容証明

内容証明郵便の力を知り、使い分ける

内容証明郵便は郵便の一種ですが、単なる手紙というより、法律上のトラブルを解決するための手段として利用されることが多いものです。

内容証明郵便がよく使われる場面としては、たとえば次のようなものがあります。

  • 金銭の請求
  • 契約の解除
  • 借地・借家の更新拒絶や解除の申入れ
  • 債権譲渡の通知
  • 相殺の通知
  • 抵当権消滅請求の通知

このように、内容証明郵便はさまざまな場面で、トラブル解決の手段として利用されています。

そのため、内容証明郵便ではどのような文面を書くかももちろん大切ですが、
どのような場面で内容証明郵便を使うかも同じくらい重要です。

内容証明郵便には、主に次の2つの力があります。

  • 相手にどのような内容の手紙を、いつ出したのかを証明できること
  • 相手に対して心理的なプレッシャーを与えること

内容証明郵便を上手に利用するコツは、この2つの力をよく理解し、場面に応じて使い分けることにあります。

内容証明郵便にしたほうがよいケース

内容証明郵便の本来の効果は、どのような内容の手紙を、いつ相手に出したかを郵便局が証明してくれることです。
そのため、相手に確実に意思を伝えたい場合や、その証拠を残しておきたい場合に向いています。

たとえば、内容証明郵便にしたほうがよいケースとしては、次のようなものがあります。

1 債権譲渡の通知をするとき

債権譲渡の場合、単に譲渡人と譲受人との間で債権譲渡契約をしただけでは、譲受人は債務者に対して支払を求めることができません。

そこで、債権譲渡契約をしたら、まず譲渡人から債務者に対して、債権譲渡をしたことを通知する必要があります。
この通知があってはじめて、譲受人は債務者に支払を求めることができるようになり、債務者も譲受人に対して支払をしなければならなくなります。

この債権譲渡の通知は、譲渡人が行う必要があります。
譲受人が通知を出しても、法律上必要とされる債権譲渡の通知をしたことにはなりません。

そして、この通知は内容証明郵便で行ったほうがよいとされています。
なぜなら、後から「いつ、どのような内容の通知をしたのか」を明確に証明できるためです。

そのため、債権を譲り受けるときは、譲渡人に対して、債権譲渡の通知を内容証明郵便で出してもらうよう依頼することが大切です。

もっとも、譲渡人は、債権譲渡の約束をしても、内容証明郵便の手続を面倒に感じて協力に消極的なことがあります。

そこで、実務上は、債権譲渡契約書を作成する際に、あわせて債権譲渡通知書も作成しておき、契約書に調印すると同時に、その通知書にも譲渡人の押印をもらっておくことがあります。
そして、その通知書を郵便局へ持参し、内容証明郵便として差し出すという方法も考えられます。

2 契約を解除するとき

契約の解除は、相手に解除の意思表示が伝われば成立するため、口頭でも普通郵便でも有効です。

しかし、口頭で伝えた場合は証拠が残りませんし、普通郵便で送った場合も、相手から「受け取っていない」と言われてしまうと、解除の通知をしたことを証明するのが難しくなります。

このように、契約解除のような重要な意思表示をするときは、できるだけ内容証明郵便で通知し、その通知書を証拠として残しておくのがよいでしょう。

3 債権を放棄するとき

商取引の相手方が倒産し、売掛金を回収できなくなることがあります。
そのままにしておくと、帳簿上は売掛金債権が資産として計上されたままとなり、税務上不都合が生じることがあります。

このような場合、売掛金債権を放棄すると、放棄した金額を損金として処理できることがあります。

そのため、税務上の対応として債務者に対し「債権を放棄する」という通知をする場合には、なるべく内容証明郵便で通知し、証拠を残しておくのが望ましいでしょう。

税務署から「債権放棄をした証拠を示してください」と言われたときに、電話や普通郵便で伝えたというだけでは、十分な証拠として認めてもらえず、損金処理を否認されるおそれもあります。

4 時効の完成を一時的に猶予したいとき

時効の完成が猶予されるのは、債権者が権利を行使していると認められる場合です。

具体的には、たとえば次のような場合です。

  • 訴訟を提起したとき
  • 支払督促の申立てをしたとき
  • 差押え、仮差押え、仮処分などの裁判手続をとったとき

また、請求書を送る、電話で請求する、直接会って請求するといった裁判外の請求でも時効の完成が6か月間猶予されます。

もっとも、裁判外の請求によって時効の完成が猶予されるのは一時的なものであり、請求後6か月以内に、裁判上の請求、差押え、仮差押え、仮処分などの手続をとらなければ、結局消滅時効が完成してしまいます。

そのため、時効の完成を猶予する目的で請求をする場合には、いつ請求したのかという証拠を残すため、なるべく内容証明郵便で行うべきといえます。

5 債権回収をするとき

売掛金や賃料などの債権を回収する場面では、内容証明郵便がよく利用されます。

内容証明郵便には心理的なプレッシャーを与える効果もあるため、普通の請求よりも相手が真剣に受け止めることが多く、一定の効果が期待できます。

もっとも、内容証明郵便を送れば必ず回収できるわけではありません。
そのような場合には、電話や面談で再度交渉したり、必要に応じて裁判上の手続を検討したりすることになります。

6 相手が約束を守らないとき

家賃を支払わない、代金を支払わない、養育費を支払わない、借金を返さないなど、相手が約束を守らない場合にも、内容証明郵便は有効に使われることがあります。

特に、通常の催促では動かない相手に対しては、内容証明郵便の持つ心理的効果が働きやすく、通常の催促よりも強い意味を持つことがあります。

まとめ

内容証明郵便を上手に利用するためには、文面だけでなく、どのような場面で使うかを見極めることが大切です。

内容証明郵便には、

  • どのような内容の通知を、いつ出したかを証明できること
  • 相手に対して一定の心理的効果を持つこと

という2つの大きな特徴があります。

そのため、債権譲渡の通知、契約解除、時効完成前の請求、債権回収、約束違反への催告などには、有効に使えることがあります。

もっとも、内容証明郵便は強い印象を与える手段でもあるため、いつでも使えばよいというものではありません。
その場面に合った使い方を考えることが大切です。

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