古物商の不正品申告義務とは?盗品・偽ブランド品の疑いがあるときの対応を解説

古物商

古物商として中古品を買い取ったり、仕入れたりしていると、

「この商品、盗品ではないだろうか」
「相手の説明が少し不自然だけど、買い取っていいのか」
「買取後に盗品の疑いが出たらどうすればいいのか」
「偽ブランド品やコピー品の疑いがある商品はどう扱えばいいのか」
「警察に申告する必要があるのはどんな場合なのか」

と迷う場面があります。

古物商には、古物について不正品の疑いがあると認めるとき、警察官に申告しなければならない義務があります。

これを、一般に「不正品申告義務」といいます。

ただし、実務上は「どの程度怪しければ申告が必要なのか」「買い取る前に気づいた場合と、買い取った後に気づいた場合でどう違うのか」「偽ブランド品やコピー品は不正品と同じ扱いで考えてよいのか」が分かりにくいところです。

この記事では、古物商の不正品申告義務について、盗品との違い、不正品の疑いがあるときの対応、偽ブランド品・コピー品の扱い、警察へ申告する際に整理しておきたい情報を解説します。

この記事でわかること

この記事では、次の内容を解説します。

  • 古物商の不正品申告義務とは何か
  • 不正品と盗品の違い
  • 偽ブランド品・コピー品を扱うときの注意点
  • 不正品の疑いがあるときに整理しておきたい記録
  • 警察へ申告する場合と、判断に迷って相談する場合の違い

まず結論|不正品の疑いがあるときは放置しない

古物商は、古物を買い受けたり、交換したり、売却・交換の委託を受けようとする場合に、その古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官に申告しなければなりません。

ポイントは、実際に盗品だと確定している場合だけではないということです。

取引相手の説明、品物の状態、価格、数量、入手経路などから、不正品の疑いがあると認める場合には、古物商として警察官へ申告する必要があります。

一方で、単に「なんとなく不安」というだけで、すべての取引を警察に申告しなければならないという意味でもありません。

整理すると、次のように考えると分かりやすいです。

状況対応の考え方
不正品の疑いがあると認める場合警察官へ申告する
不正品の疑いがあるか判断に迷う場合取引記録や不審点を整理して警察に相談する
偽ブランド品・コピー品の疑いがある場合不正品申告義務とは別に、商標法・著作権法などの問題として扱わない判断をする
偽ブランド品の疑いに加え、入手経路・数量・相手の説明なども不自然な場合知的財産権侵害だけでなく、不正品の疑いがないかも確認する

偽ブランド品・コピー品・海賊版の疑いがある商品は、古物営業法上の不正品申告義務とは別に、商標法・著作権法などの問題になる可能性があります。

ただし、「偽ブランド品だから不正品申告義務とは関係ない」と単純に切り離すのも危険です。

偽ブランド品の疑いに加えて、入手経路、数量、価格、相手の説明などに不自然な点がある場合は、盗品や詐欺・横領などによって取得された物ではないかという疑いも含めて確認する必要があります。

不正品申告義務とは

不正品申告義務とは、古物商が取り扱う古物について、不正品の疑いがあると認めるときに、警察官へ申告しなければならない義務です。

古物営業法では、古物商が古物を買い受け、交換し、または売却・交換の委託を受けようとする場合に、その古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官に申告しなければならないとされています。

不正品申告義務が問題になるのは、主に次のような場面です。

  • 店頭で中古品を買い取ろうとする場合
  • 宅配買取で商品を受け取ろうとする場合
  • 出張買取で商品を買い受けようとする場合
  • 古物を交換しようとする場合
  • 売却や交換の委託を受けようとする場合
  • フリマアプリやネットオークションで仕入れようとする場合

古物商は、盗品などが流通するのを防ぐ役割も担っています。

そのため、本人確認や帳簿記載だけでなく、不正品の疑いがある古物を見つけたときにどう対応するかも、事前に決めておく必要があります。

不正品とは?盗品との違い

「不正品」と聞くと、盗品だけをイメージする方もいるかもしれません。

しかし、不正品は盗品だけに限られるものではありません。

警察庁の解釈運用基準では、不正品は、犯罪構成要件に該当する行為によって領得された物と説明されています。

つまり、不正品は、盗品より広い概念です。

たとえば、次のような犯罪によって取得された物が問題になることがあります。

  • 窃盗
  • 強盗
  • 詐欺
  • 恐喝
  • 横領
  • その他、犯罪によって領得された物

日常会話では、犯罪で得られた物をまとめて「盗品」と呼ぶこともあります。

ただし、古物商の実務では、窃盗品だけでなく、詐欺・横領などによって取得された可能性がある物も含めて、不正品の疑いがないか確認する必要があります。

そのため、記事や実務上の整理では、「盗品の疑い」だけでなく、「不正品の疑い」として広く捉えるほうが正確です。

偽ブランド品・コピー品は不正品に当たる?

フリマアプリや店頭買取では、偽ブランド品、コピー品、海賊版など、いわゆる「パチモン」が持ち込まれる可能性もあります。

ここは、古物営業法上の不正品申告義務と、商標法・著作権法などの知的財産権侵害を分けて考える必要があります。

古物営業法上の不正品は、盗品や詐欺・横領など、犯罪によって取得された物を広く含む概念です。

一方、偽ブランド品やコピー品は、それ自体の販売や譲渡が、商標権侵害・著作権侵害などの問題になることがあります。

そのため、偽ブランド品やコピー品の疑いがある商品について、直ちに「古物営業法上の不正品申告義務が必ず発生する」と断定するのは正確ではありません。

しかし、「偽ブランド品なら不正品申告義務とは無関係」と考えるのも危険です。

たとえば、次のような事情が重なる場合は、知的財産権侵害だけでなく、不正品の疑いがないかも確認する必要があります。

  • 偽ブランド品の疑いがある
  • 同じ商品を大量に持ち込んでいる
  • 入手経路の説明があいまい
  • 価格が不自然に安い
  • 本人確認を避けようとする
  • 商品の出どころを説明できない
  • フリマアプリやネットオークションで不自然な大量出品をしている

このような場合は、「偽物かもしれない」という問題だけでなく、盗品や詐欺・横領などによって取得された物ではないかという点も含めて見ます。

不正品の疑いがあると認める場合は警察官への申告が問題になります。

一方、偽ブランド品・コピー品・海賊版そのものについては、商標法・著作権法などの知的財産権侵害の問題として、古物商として扱わない運用にしておくべきです。

コピー商品の製造や販売は、知的財産権を侵害する違法行為です。

コピー商品と知らずに販売していた場合でも、取引した点数が多い場合や、一定の利益を得ている場合などには、問題になることがあります。

また、偽ブランド品や海賊版であると認識しながら販売すれば、商標法・著作権法などにより、重い刑事責任が問題になる可能性があります。

たとえば商標権侵害については、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される場合があります。

そのため、「本物か分からないけれど売れそうだから扱う」「偽物かもしれないが訳あり品として販売する」といった運用は避けるべきです。

次のような事情がある場合は、正規品かどうかを確認できる資料や入手経路を確認しましょう。

  • 正規品かどうか確認できないブランド品
  • シリアルナンバーや保証書の説明が不自然な商品
  • 「スーパーコピー」「N級品」「レプリカ」などと説明されている商品
  • ブランドロゴやキャラクターを無断で使っている可能性がある商品
  • 海賊版DVD、コピーソフト、無断複製品と思われる商品
  • 正規品と比べて価格が極端に安い商品
  • 付属品、箱、ギャランティカードなどに不自然な点がある商品

これらに当てはまるからといって、直ちに違法品だと断定できるわけではありません。

しかし、正規品かどうか確認できない商品や、偽ブランド品・コピー品の疑いが残る商品は、仕入れや買取を避けるのが安全です。

古物商許可があっても、偽ブランド品や海賊版を販売してよいわけではありません。

どんなときに不正品の疑いが出る?

不正品かどうかは、外見だけで簡単に判断できるものではありません。

安いから不正品、箱がないから不正品、大量に持ち込まれたから不正品、と決めつけることはできません。

ただし、取引全体を見たときに、不自然な点が重なる場合は、立ち止まって確認する必要があります。

自分のケースに当てはまるものがないか、次の項目を確認してみましょう。

□ 相場より極端に安い価格で売ろうとしている
□ 同じ商品や同じ型番の商品を大量に持ち込む
□ 新品同様の商品を多数持っている
□ 入手経路の説明があいまい、または二転三転する
□ 購入時期や購入場所の説明が変わる
□ 本人確認に協力しない
□ 身分証の提示を嫌がる
□ 急いで現金化したがる
□ 商品の特徴や付属品について説明できない
□ 盗難被害が出やすい品目を不自然な状態で持ち込む
□ シリアルナンバーや防犯登録などの説明が不自然
□ 正規品かどうか確認できないブランド品を持ち込む
□ フリマアプリで評価や出品内容に不審な点がある

これらに当てはまるからといって、必ず不正品だという意味ではありません。

しかし、複数の事情が重なり、疑問が解消できない場合は、取引を進める前に、入手経路・数量・価格・本人確認の状況を確認しましょう。

買取前に不正品の疑いがあるときの対応

買取前に不正品の疑いがあると感じた場合は、まず取引を急がないことです。

「せっかく持ち込まれたから」「利益が出そうだから」といって、疑問が残るまま買い取るのは危険です。

買取前に不審な点がある場合は、次の情報を確認します。

  • 本人確認を適切に行えるか
  • 商品の入手経路を説明できるか
  • 購入時期や購入場所に不自然な点がないか
  • 付属品、保証書、箱、説明書などがあるか
  • 型番、製造番号、シリアルナンバーを確認できるか
  • 防犯登録や所有者情報が関係する品目では、必要な確認ができるか
  • ブランド品などは正規品かどうか確認できる資料があるか

疑問が解消できない場合は、買取を見送る判断が必要です。

ただし、ここで大事なのは、「買い取らなければそれで終わり」とは限らないことです。

古物について不正品の疑いがあると認める場合は、買い取る前であっても、警察官への申告義務が問題になります。

不正品の疑いがあると判断した場合は、相手や品物の情報を整理したうえで、警察官へ申告しましょう。

まだ不正品の疑いがあると認めるところまではいかないものの、判断に迷う場合は、取引記録や不審点を整理して警察に相談することも考えられます。

偽ブランド品・コピー品・海賊版の疑いがある場合も、自己判断で買い取ったり販売したりせず、扱わない運用にしておくのが安全です。

「直ちに申告」とは、無理に相手を引き止めるという意味ではない

古物営業法では、不正品の疑いがあると認めるときは「直ちに」警察官に申告しなければならないとされています。

ただし、店頭や出張買取の現場で相手が目の前にいる場合、無理に問い詰めたり、引き止めたりするとトラブルになることがあります。

実務上は、身の安全を最優先し、相手を過度に刺激しないよう注意しながら、できる範囲で品物・相手方・取引状況に関する情報を整理し、速やかに警察へ連絡することが大切です。

緊急性が高い場合は110番、通常の連絡であれば管轄警察署の生活安全課などに連絡することが考えられます。

警察に申告する前に、古物商が盗品かどうかを自分で確定させる必要はありません。

大切なのは、どの品物について、どのような事情から不正品の疑いがあると考えたのかを説明できるようにしておくことです。

買取後に不正品の疑いが出た場合

買取時には気づかなかったものの、後から不正品の疑いが出ることもあります。

たとえば、次のような場面です。

  • 買取後にシリアルナンバーの不自然さに気づいた
  • 商品の説明と実物が合わないことが分かった
  • 同種商品の盗難被害を知った
  • フリマアプリで仕入れた後、出品者の他の商品に不審な点が見つかった
  • 仕入れ後に相手の説明が虚偽だった可能性が出てきた
  • 買取後に偽ブランド品・コピー品の疑いが出てきた
  • 警察から照会や問い合わせを受けた

このような場合は、そのまま販売・処分せず、まず品物と取引記録を確認します。

整理しておきたい情報は、次のとおりです。

  • いつ、誰から買い取ったか
  • 本人確認はどのように行ったか
  • 帳簿や買取申込書にどの情報を残しているか
  • どの品物について疑いが出ているか
  • 型番、製造番号、シリアルナンバーなどの情報
  • ブランド名、ロゴ、保証書、付属品などの情報
  • 買取金額
  • 取引時のやり取り
  • 不審だと感じた理由
  • 現在、その品物をどこで保管しているか

そのうえで、不正品の疑いがあると認める場合は、速やかに警察官へ申告します。

偽ブランド品・コピー品の疑いがある場合も、販売を続けず、商品と取引記録を保全して対応を判断しましょう。

すでに販売してしまった場合でも、取引記録や販売先の情報を確認し、警察から説明を求められたときに対応できるようにしておきましょう。

勝手に返却・処分していい?

不正品の疑いがある品物について、自己判断で相手に返したり、処分したりするのは避けたほうが安全です。

特に、次のような対応は避けましょう。

  • 持ち込んだ相手にそのまま返す
  • 不安だからすぐ廃棄する
  • 証拠になりそうな取引画面やメッセージを削除する
  • すぐに別の人へ販売する
  • 相手から返却を求められて応じる
  • 偽ブランド品の疑いがある商品を「訳あり品」として販売する

不正品の疑いがある場合、品物そのものや取引記録が、後から重要な情報になることがあります。

そのため、不正品の疑いが出た場合は、自己判断で処分や返却を進めるのではなく、まず品物と取引記録を保全します。

そのうえで、不正品の疑いがあると認める場合は警察官へ申告し、判断に迷う場合は管轄警察署に相談しましょう。

警察から保管や対応について指示があった場合は、その内容に従います。

警察に申告するときに整理しておきたい情報

不正品の疑いがあるときに警察へ申告する場合、何を伝えればよいのか迷うことがあります。

すべてを完璧に整理しようとするより、まずは次の3つを優先してメモしておきましょう。

  • 誰から取引を受けたか
  • どの品物について疑いがあるのか
  • どの点を不自然だと感じたのか

そのうえで、分かる範囲で次の情報を整理しておくと、説明しやすくなります。

区分整理しておきたい情報
取引情報取引日、買取日、受付日、取引番号、帳簿番号
相手方情報氏名、住所、職業、年齢、生年月日、電話番号、メールアドレス
本人確認確認書類の種類、確認方法、確認日、確認担当者
品物情報品目、数量、ブランド名、型番、製造番号、シリアルナンバー、色、状態、特徴
ブランド品等ロゴ、保証書、ギャランティカード、付属品、購入証明、正規品と判断した資料
金額買取金額、相場との差、支払方法
入手経路相手から聞いた購入場所、購入時期、入手理由
不審点どの点に疑いを持ったか、説明の矛盾、不自然な価格や数量
証拠資料買取申込書、帳簿、本人確認記録、写真、メッセージ、取引画面、領収書等
現在の状況品物を保管しているか、販売済みか、相手から連絡があるか

警察に申告する際は、「盗品だと断定する」必要はありません。

古物商として不正品の疑いがあると認めた事情を、分かる範囲で具体的に伝えることが大切です。

たとえば、

「同じ型番の商品を短期間に複数持ち込まれた」
「入手経路の説明が何度も変わった」
「本人確認に応じようとしなかった」
「相場より極端に安い金額で急いで売りたがった」
「製造番号が削られていた」
「正規品かどうか確認できないブランド品だった」

など、疑いを持った理由を整理しておきましょう。

本人確認・帳簿記載とあわせて確認する

不正品申告義務は、本人確認義務や帳簿記載義務と深く関係します。

古物商は、買受け等の際に、原則として相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する必要があります。

また、帳簿記載が必要な取引では、取引年月日、品目、数量、特徴、相手方情報、本人確認方法などを記録します。

不正品の疑いが出たとき、これらの記録が不十分だと、後から取引内容を説明しにくくなります。

たとえば、

  • 誰から買い取ったのか分からない
  • 本人確認の方法が記録されていない
  • 商品の型番や特徴が残っていない
  • シリアルナンバーを控えていない
  • ブランド品の付属品や購入証明を確認していない
  • 買取申込書と帳簿の番号がつながっていない
  • フリマ仕入れの取引画面を保存していない

という状態では、警察から確認を求められたときに困ります。

不正品の疑いがある取引を避けるためにも、日ごろから本人確認・帳簿記載・買取申込書の運用を整えておきましょう。

1万円未満なら不正品申告義務も関係ない?

1万円未満の取引では、相手方確認義務や帳簿記載義務が免除される場合があります。

しかし、1万円未満だからといって、不正品の疑いを無視してよいわけではありません。

不正品申告義務は、本人確認義務や帳簿記載義務の免除とは別に考える必要があります。

たとえば、1万円未満の取引であっても、

  • 同じ相手が正当な理由なく何度も少額取引を希望する
  • 同種の商品を短期間に何度も持ち込む
  • 商品の入手経路が不自然
  • 本人確認を避けようとする
  • 盗難が疑われる品物と特徴が似ている
  • 偽ブランド品・コピー品の疑いがある

といった事情がある場合は、不正品や違法品の疑いがないか確認する必要があります。

「1万円未満だから何も確認しなくていい」と考えるのは危険です。

少額取引で確認義務や帳簿記載義務が免除される場合でも、不自然な点が残る取引は、入手経路や取引状況を確認しましょう。

フリマアプリ・ネット仕入れで注意したいケース

フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合も、不正品申告義務を意識する必要があります。

ネット仕入れでは、相手の顔が見えず、商品の入手経路も画面上の説明に頼ることが多くなります。

特に、次のようなケースでは、仕入れ前に確認したいところです。

  • 相場より極端に安い
  • 同じ新品商品を大量に出品している
  • アカウント作成直後に高額商品を多数出している
  • 商品説明が極端に少ない
  • 製造番号やシリアルナンバーの写真がない
  • 付属品や保証書の説明が不自然
  • 「スーパーコピー」「N級品」「レプリカ」などと書かれている
  • ブランド品なのに正規品かどうか確認できない
  • 入手経路を質問しても答えない
  • 匿名配送のみで相手情報を確認できない
  • 本人確認が必要な取引なのに確認できない
  • 取引後すぐにアカウントが削除される

これらの事情があるからといって、必ず不正品だとはいえません。

ただし、古物商として仕入れる場合は、安さや手軽さだけで判断せず、取引内容を後から説明できるかを確認しましょう。

不自然な点が残る出品は、仕入れを見送る基準を決めておくと管理しやすくなります。

古物商がやりがちなミス

不正品申告義務に関して、古物商がやりがちなミスを整理しておきます。

よくあるミス注意点
買取を断れば終わりだと思う不正品の疑いがあると認める場合は、申告義務が問題になる
盗品と確定しない限り申告不要だと思う不正品の疑いがある段階で申告義務が問題になる
偽ブランド品を「訳あり品」として売れると思う商標法・著作権法などの問題になる可能性がある
偽ブランド品なら不正品申告義務とは無関係だと思う入手経路や数量にも不自然な点があれば、不正品の疑いもあわせて確認する
安いだけなら気にしない安さだけで決めつけはできないが、入手経路や数量もあわせて確認する
1万円未満なら関係ないと思う確認義務が免除されても、不正品の疑いは別問題
本人確認だけして安心する本人確認をしても、不正品リスクが消えるわけではない
帳簿に商品特徴を残していない後から特定できる情報が不足する
フリマ仕入れの取引画面を保存していない後から相手や商品を確認しにくい
疑いのある品物を自己判断で返却・処分するまず記録と品物を保全し、警察への申告または相談を判断する

不正品申告義務は、許可を取った後の実務で実際に問題になる義務です。

怪しい品物をどう扱うか、誰に確認するか、どの記録を残すかを決めておかないと、現場で判断に迷いやすくなります。

また、偽ブランド品やコピー品の疑いがある商品を扱わないことも、古物商としての信用を守るために重要です。

疑いが出たときに慌てないよう、日ごろから対応の流れを決めておきましょう。

不正品の疑いがあるときの対応早見表

場面対応の考え方
買取前に不審点がある取引を急がず、入手経路や商品情報を確認する
本人確認を拒まれる買取を避け、不正品の疑いがないか確認する
相場より極端に安い価格だけで判断せず、取引全体を見る
同一商品を大量に持ち込まれる数量、入手経路、説明内容を確認する
偽ブランド品・コピー品・海賊版の疑いがある商標法・著作権法などの問題があるため扱わない
偽ブランド品の疑いに加え、入手経路や数量も不自然不正品の疑いがないかも確認する
買取後に疑いが出た品物と記録を保全し、不正品の疑いがあると認める場合は警察官へ申告する
相手が返却を求めてきた自己判断で返却せず、状況に応じて警察に確認する
フリマ仕入れで不審点がある取引画面ややり取りを保存し、仕入れを見送る判断も持つ

この表は、あくまで判断の目安です。

実際に不正品の疑いがあるかどうかは、個別の事情によって変わります。

不正品の疑いがあると認める場合は申告し、判断に迷う場合は、取引記録を整理したうえで管轄警察署に相談しましょう。

よくある質問

不正品申告義務とは何ですか?

不正品申告義務とは、古物商が古物を買い受ける場合などに、その古物について不正品の疑いがあると認めるとき、直ちに警察官に申告しなければならない義務です。

実際に盗品だと確定している場合だけでなく、不正品の疑いがあると認める場合に問題になります。

不正品と盗品は同じですか?

同じではありません。

盗品は、一般に窃盗や強盗によって奪われた物を指す場面があります。

一方、不正品は、犯罪によって領得された物を広く含む概念です。

そのため、古物商の実務では、盗品だけでなく、詐欺や横領などによって取得された可能性がある物も含めて、不正品の疑いがないか確認する必要があります。

偽ブランド品やコピー品も不正品ですか?

偽ブランド品・コピー品・海賊版は、古物営業法上の不正品とまったく同じ意味で整理するより、商標法・著作権法などの知的財産権侵害の問題として分けて考える必要があります。

ただし、偽ブランド品の疑いに加えて、入手経路、数量、価格、相手の説明などに不自然な点がある場合は、不正品の疑いがないかも確認する必要があります。

単に「偽物かもしれない」という問題だけでなく、盗品や詐欺・横領などによって取得された物ではないかという疑いがある場合は、古物営業法上の不正品申告義務も問題になります。

偽ブランド品やコピー品は警察に申告しなくていいですか?

偽ブランド品やコピー品の疑いがあるというだけで、直ちに古物営業法上の不正品申告義務が発生すると断定するのは正確ではありません。

ただし、偽ブランド品の疑いに加えて、入手経路や数量、価格、相手の説明などに不自然な点がある場合は、不正品の疑いも含めて警察への申告・相談を検討します。

また、偽ブランド品や海賊版は商標法・著作権法などの問題になる可能性があるため、古物商として買取・販売をしない運用にしておくべきです。

怪しいと思っただけで警察に申告する必要がありますか?

単なる不安だけで、すべての取引を申告しなければならないという意味ではありません。

ただし、取引相手の説明、品物の状態、価格、数量、入手経路などから、不正品の疑いがあると認める事情がある場合は、警察官への申告義務が問題になります。

不正品の疑いがあるか判断に迷う場合は、取引記録や不審点を整理し、管轄警察署に相談しましょう。

買取を断れば申告しなくてもよいですか?

買取を断っただけで必ず申告不要になるとは限りません。

古物について不正品の疑いがあると認める場合は、買い取る前であっても警察官への申告義務が問題になります。

不審な点がある場合は、品物や相手に関する情報を整理し、不正品の疑いがあると認める場合は警察官へ申告しましょう。

買取後に盗品の疑いが出たらどうすればいいですか?

まず、品物と取引記録を保全しましょう。

帳簿、買取申込書、本人確認記録、商品写真、型番、製造番号、取引画面、メッセージなどを整理します。

そのうえで、不正品の疑いがあると認める場合は、速やかに警察官へ申告します。

疑わしい品物を相手に返してもいいですか?

自己判断で相手に返却するのは避けたほうが安全です。

不正品の疑いがある場合、品物や取引記録が後から重要になることがあります。

相手から返却を求められた場合でも、まず状況を整理し、警察に確認してから対応しましょう。

1万円未満の取引でも不正品申告義務はありますか?

1万円未満の取引では、相手方確認義務や帳簿記載義務が免除される場合があります。

しかし、不正品の疑いがある場合の申告義務は別問題です。

1万円未満だからといって、不自然な点を無視してよいわけではありません。

フリマアプリ仕入れでも不正品申告義務は関係しますか?

関係します。

フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合でも、古物商として不正品の疑いがある古物を扱う場合は、申告義務を意識する必要があります。

匿名配送、相場より極端に安い商品、大量出品、入手経路が不明な商品などは、取引全体を確認しましょう。

また、偽ブランド品・コピー品・海賊版の疑いがある商品は、知的財産権侵害の問題になる可能性があるため、仕入れや販売を避けるのが安全です。

まとめ

古物商には、不正品の疑いがある古物について、警察官に申告する義務があります。

不正品は盗品だけに限られず、犯罪によって領得された物を広く含む概念です。

そのため、古物商は、取引相手の説明、価格、数量、入手経路、品物の特徴などから、不正品の疑いがないかを確認する必要があります。

偽ブランド品・コピー品・海賊版は、古物営業法上の不正品と同じ意味で整理するより、商標法・著作権法などの知的財産権侵害の問題として分けて考える必要があります。

ただし、偽ブランド品の疑いに加えて、入手経路、数量、価格、相手の説明などにも不自然な点がある場合は、不正品の疑いがないかも確認しましょう。

古物商許可があっても、偽ブランド品や海賊版を販売してよいわけではありません。

買取前に不審点がある場合は、無理に取引を進めず、入手経路や商品情報を確認しましょう。

不正品の疑いがあると認める場合は警察官へ申告し、判断に迷う場合は、取引記録を整理して管轄警察署に相談する形で分けて考えると整理しやすくなります。

買取後に不正品の疑いが出た場合も、品物と取引記録を保全し、自己判断で返却・処分しないようにしましょう。

また、1万円未満の取引で本人確認や帳簿記載が免除される場合でも、不正品の疑いを無視してよいわけではありません。

フリマアプリやネット仕入れでも、安さや手軽さだけで判断せず、「後から取引内容を説明できるか」「不自然な点が残らないか」を基準にしましょう。