契約書の内容が固まったら、次は実際にどのように締結するのかが問題になります。
紙の契約書で締結する場合には、印刷、製本、押印、交付、返送、保管といった流れで進めるのが一般的です。
もっとも、契約書が複数ページにわたる場合の綴じ方や、契印・割印の扱いなど、迷いやすい点も少なくありません。
この記事では、紙の契約書を締結する際の一般的な流れと、押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
紙の契約書を締結する一般的な流れ
紙の契約書で締結する場合、一般的には、契約当事者のいずれかが契約書を2部印刷し、先に押印したうえで、2部とも相手方に交付します。相手方でも押印がされた後、そのうち1部を返送してもらい、各当事者が1部ずつ保管することになります。
もっとも、実際の進め方は当事者間の取り決めによって異なることもあります。たとえば、相手方が契約書を作成して送付してくる場合や、対面で双方がその場で押印する場合もあります。
以下、紙の契約書を締結する際の一般的な流れを見ていきます。
1 印刷
まずは、確定した最終版の契約書を印刷します。
契約書の内容が最終版に至るまでには、相手方との間でメールやチャットを通じて何度もファイルのやり取りが行われることが少なくありません。そのため、作成過程で複数のファイルが存在していることもよくあります。
締結にあたっては、内容が確定した最終版のファイルを誤りなく印刷することが重要です。修正途中の版を誤って印刷してしまうと、後のトラブルにつながるおそれがあります。
2 製本
印刷した契約書が1枚で完結する場合には、通常、特別な製本は不要です。これに対し、契約書が複数ページにわたる場合には、一般に製本が行われます。
ここで大切なのは、契約書の一体性を確保することです。つまり、契約内容が記載された各ページが一つの文書として綴じられ、後から差し替えや改ざんができないようにしておく必要があります。また、そのことが外形上も分かるようにしておくことが望ましいでしょう。
綴じ方としては、片側をホチキスで留める方法が一般的です。そのうえで、さらに製本テープを用いることもよくあります。
ホチキスのみで綴じる場合
ホチキスのみで綴じる場合には、一般に、ページの継ぎ目や各ページにまたがるように契印を押す方法がとられます。これにより、文書の一体性を示しやすくなります。
製本テープを使用する場合
製本テープを使用する場合には、製本テープと用紙にまたがるように契印を押す方法がよく用いられます。この場合、通常は各ページに個別の契印を押さないこともあります。
なお、複数ページの契約書が一つの文書であることを示すための押印は、一般に「契印」と呼ばれます。これに対し、2部以上作成した契約書が、同一内容の関連する書面であることを示すために、書類にまたがって押す印は一般に「割印」と呼ばれます。
3 押印
契約書には、通常、末尾の当事者欄に押印します。
あらかじめ当事者の住所、会社名、代表者名などが印字されている場合には、その氏名等の横に押印します。これらが印字されていない場合には、必要事項を記載したうえで押印することになります。
もっとも、契約書への押印は、原則として実印でなければならないわけではありません。実印でなくても、通常は契約書の効力に直ちに影響するものではありません。ただし、重要な契約では、実印での押印を求めたり、印鑑証明書の提出を求めたりすることがあります。
契約は、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成や押印がなければ成立しないものではありません。また、民事訴訟法上、私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定するとされています。もっとも、実際にどの方式で取り交わすかは、契約の内容や相手方の運用によって異なることがあるため、事前に確認しておくと安心です。
なお、契約の種類や内容によっては、収入印紙の貼付が必要となる場合があります。収入印紙を貼る場合には、印紙と台紙にまたがるように消印を行います。
4 交付
自社または自分側で押印した後は、相手方の押印も必要となるため、契約書2部を相手方に交付します。
交付方法としては、直接手渡しする場合もあれば、郵送する場合もあります。郵送する場合には、紛失防止や到達確認の観点から、追跡可能な方法で送付するのが望ましいでしょう。
また、どの版を送付したのかが分かるように、送付前に控えを取っておくと後の確認がしやすくなります。
5 返送
相手方でも押印がされた後、通常はそのうち1部が返送されます。
返送を受けたら、押印漏れがないか、想定どおりの書面が返送されているかを確認しておくことが大切です。あわせて、契約当事者の表示に誤りがないか、収入印紙が必要な契約であれば貼付や消印がされているか、送付前の内容と差し替わりがないかといった点も確認しておくと安心です。
6 保管
返送された契約書の原本は、適切に保管しておく必要があります。
また、原本を物理的に保管するだけでなく、あらかじめスキャンして電子ファイルとして保存しておくと、後日内容を確認する際に便利です。もっとも、裁判などで提出が必要になる場面では原本が重要となるため、原本自体も大切に保管しておくべきです。
契約書は、締結日や契約相手ごとに整理して保管しておくと、更新時期の確認や、後日の問い合わせ、トラブル対応の際にも役立ちます。
電子契約という方法もある
近年では、コストや手間を抑える観点から、電子契約も広く利用されるようになっています。
電子契約であれば、紙への印刷や郵送、押印のやり取りが不要になることが多く、締結までの手続を効率化しやすいという利点があります。また、契約内容を電磁的記録で取り交わす場合、印紙税の課税対象となる「文書」には当たらないため、通常は印紙税が課されません。
もっとも、電子契約であっても、契約内容自体を十分に確認することの重要性は変わりません。紙で締結する場合と同様に、契約内容をよく確認したうえで締結することが大切です。
まとめ
紙の契約書で締結する場合には、一般に、最終版の契約書を印刷し、必要に応じて製本し、押印したうえで相手方に交付し、押印済みの1部を返送してもらって保管する、という流れになります。
契約書は、内容だけでなく、締結や保管の方法も適切に行うことが大切です。後日の確認やトラブルに備えて、原本と電子データの双方を整理して保管しておくと安心です。
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