内容証明を受け取ると、驚いたり、不安になったりする方も多いと思います。
しかし、内容証明が届いたからといって、すぐに返事をしなければならないとは限りません。
大切なのは、あわてて対応するのではなく、まず内容を正確に読み、落ち着いて今後の対応を考えることです。
この記事では、内容証明を受け取ったときにまず何をすべきか、返事は必要なのか、返事をするときの注意点は何かについて解説します。
内容証明を受け取ったら、まず落ち着いて内容を確認する
内容証明を受け取ったら、まずは落ち着いて内容をよく読むことが大切です。
相手が何を求めているのか、どのような事実を指摘しているのか、自分に心当たりがあるのかを確認しましょう。
たとえば、約束違反や未払い、契約解除などが書かれている場合には、その内容に事実と違う点がないか、自分の認識とずれていないかを整理する必要があります。
もし自分に落ち度があり、相手の主張にもっともな点があると思われる場合には、まず必要な対応を検討し、そのうえで相手の出方を見ることになります。
内容証明が届いたら、必ず返事をしなければならないのか
結論からいうと、内容証明が届いたからといって、必ず返事を出さなければならないわけではありません。
内容証明は、トラブルを前提として送られることが多い手紙です。
そのため、受け取ると「すぐに返事をしないと不利になるのではないか」と不安になるかもしれません。
しかし、一般的には、返事をしなかったからといって、当然に相手の言い分を認めたことになるわけではありません。
たとえば、内容証明に
「回答がない場合には、当方の主張を承認したものとみなします」
と書かれていることがあります。
しかし、そのような記載があっても、返事をしないことだけで直ちに不利になったり、相手の言い分を認めたものと扱われたりするわけではありません。
返事をしないほうがよい場合もある
内容証明を送ってくる相手は、こちらの考えや手持ちの証拠を探るために通知をしている場合があります。
そのようなときに、あわてて返事を出してしまうと、自分に不利な事情や、自分の考えを相手に伝えてしまうことがあります。
結果として、相手にこちらのマイナス材料を与えてしまうおそれもあります。
そのため、場合によっては、あえて返事をしないことが有効な対応になることもあります。
内容証明を受け取ったときは、すぐに反応することが大切なのではなく、返事をすることが本当に自分にとって有利かどうかを見極めることが大切です。
返事が必要になる例外的なケース
もっとも、例外もあります。
非常にまれではありますが、一定期間内に回答しないと、法律上一定の効果が生じる場合があります。
そのような場合には、不利益を避けるために返事が必要になることがあります。
たとえば、次のような場合です。
- 離れた土地の商人から契約の申込みを受けたとき
- 通常の商取引の申込みを受けたとき
- 制限行為能力者が能力回復後、相手方から催告を受けたとき
- 無権代理人による契約について、相手方から催告を受けたとき
- 抵当権消滅請求を受けたとき
- 選択債権について選択を催告されたとき
- 契約を解除するかどうかの催告を受けたとき
- 遺言に従うかどうかの催告を受けたとき
このような場合には、返事をしないことで不利益が生じる可能性があります。
ただし、一般の方にとってはあまり多くないケースです。
実際にこうした内容証明を受け取った場合には、個別に慎重な検討が必要になるでしょう。
返事が必要になる例外的なケースについては、別の記事で詳しく解説します。
内容証明への返事を書くときの注意点
では、返事を書く場合には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
主な注意点は、次のとおりです。
1 返事は相手側の証拠にもなる
前述のとおり、返事として書いた内容は、そのまま相手側の証拠になる可能性があります。
書いてしまったことは後からなかったことにできないため、内容は慎重に検討する必要があります。
事実関係や表現に誤りや不用意な点がないか、よく確認してから送ることが大切です。
2 内容は要領よく簡潔に書く
返事を書く場合には、結論のみを簡潔に書くのがコツです。
長々と書いてしまうと、相手に攻め方のヒントを与えてしまったり、自分にとって不利な情報をうっかり書いてしまったりする可能性があります。
たとえば、請求に応じないのであれば、その旨だけを簡潔に記載する方法があります。
長く事情を書きすぎないことが大切です。
3 返事も内容証明郵便で送ることを検討する
返事をする場合には、どのような返事をいつ出したのか、そしていつ相手に届いたのかがわかるよう、配達証明付き内容証明郵便で送ることを検討するとよいでしょう。
4 タイトルは必須ではないが、「回答書」などとするとわかりやすい
返事にタイトルは必須ではありません。
ただ、付けるのであれば「回答書」などとしておくと、文書の性質がわかりやすくなります。
5 代理人からの通知には、代理人宛てでも本人宛てでもよい
相手方本人ではなく、代理人から内容証明郵便が送られてくることもあります。
その場合、返事は代理人宛てでも、本人宛てでも差し支えないとされています。
もし代理人が弁護士でない場合は、本人宛てに出しておくと無難です。
内容証明を受け取ったときは、あわてず対応を考えることが大切
内容証明を受け取ると、不安になってすぐ返事をしたくなることがあります。
しかし、内容証明が届いたからといって、必ずしもすぐ返事をする必要があるわけではありません。
むしろ大切なのは、
- まず落ち着いて内容を確認すること
- 相手の主張に心当たりがあるか整理すること
- 返事をすることで自分に不利にならないか考えること
- 例外的に返事が必要なケースでないか確認すること
です。
内容証明を受け取ったときは、あわてて反応するのではなく、返事が本当に必要かどうかを見極めたうえで対応することが重要です。
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