戸籍謄本・住民票の英訳は自分でできる?翻訳証明と提出前の確認事項

アポスティーユ

海外の行政機関、学校、勤務先、金融機関などへ戸籍謄本や住民票を提出する際、日本語の原本だけでなく、英訳や「翻訳証明」を求められることがあります。

このとき迷いやすいのが、戸籍謄本と住民票のどちらを用意すればよいのか、自分で英訳してもよいのか、翻訳会社や翻訳者へ依頼する必要があるのかという点です。

結論として、本人による英訳を使用できる場合もありますが、必要な書類、翻訳者の条件、証明文の形式は提出先によって異なります。

「戸籍謄本を英訳すればよい」「翻訳会社に依頼すれば必ず受理される」とは限りません。書類を取得・翻訳した後で不足に気付くと、原本の再取得や再翻訳が必要になるため、まず提出先の案内を確認することが大切です。

結論|戸籍謄本・住民票を英訳する前に確認すること

書類を取得したり英訳を依頼したりする前に、次の5点を確認しましょう。

確認項目 確認する内容
証明したい内容 出生、婚姻、離婚、親子関係、現在の住所、世帯構成など、何を証明するのか
必要な日本の書類 戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、住民票、受理証明書などのどれが必要か
翻訳者の条件 本人翻訳が可能か、第三者による翻訳や、提出先が指定する資格を持つ翻訳者が必要か
翻訳証明の条件 指定の証明文、署名、連絡先、公証などが必要か
原本・認証の条件 原本・コピー・PDFのどれを提出するか、発行期限やアポスティーユ等の指定があるか

まず、提出先機関のウェブサイトや申請要領に、日本で発行される書類についての案内がないか確認します。国別の必要書類一覧が公開されている手続では、「Japan」などの項目から、日本で用意すべき書類を確認できることがあります。

公式案内だけでは判断できない場合は、実際に書類を受け取る提出先へ問い合わせます。ビザや在留手続なら申請先の移民当局や大使館、大学なら出願担当部署、勤務先や金融機関なら書類の審査担当部署が主な確認先です。

問い合わせる際は、「日本の戸籍謄本でよいですか」とだけ尋ねるのではなく、次の点を具体的に確認すると行き違いを防ぎやすくなります。

  • 戸籍全部事項証明書と戸籍個人事項証明書のどちらが必要か
  • 出生届・婚姻届などの受理証明書でもよいか
  • 現在の戸籍だけでよいか、過去の戸籍も必要か
  • 原本、コピー、PDFのどれを提出するか
  • 本人や家族による翻訳が認められるか
  • 翻訳者の資格や翻訳証明の様式に指定があるか
  • 公証、アポスティーユ、公印確認、領事認証が必要か
  • 発行後何か月以内の書類が必要か

電話で確認した場合も、可能であればメールなど記録が残る方法で回答を受けておくと、提出時に確認しやすくなります。

戸籍謄本・住民票は自分で英訳できる?

提出先が本人による翻訳を認めていれば、自分で作成した英訳を使用できる可能性があります。

ただし、英語を正確に扱えるだけでは足りません。原文の記載を省略せずに訳し、氏名や日付をほかの提出書類と一致させたうえで、提出先が指定する証明文、署名、連絡先などの条件を満たす必要があります。

本人や家族による翻訳を認めていない手続では、翻訳会社や翻訳者などの第三者へ依頼します。

一方で、翻訳会社、第三者が作成した英訳であっても、それだけで必ず受理されるわけではありません。翻訳者の資格、証明文、署名、連絡先、公証の要否などが、提出先の条件に合っていることが重要です。

翻訳証明とは

ここでいう翻訳証明とは、翻訳者が、添付した訳文について、原文の内容を正確に翻訳したものであることを書面で表明するものです。

提出先の指定に応じて、訳文の末尾に証明文を記載する方法や、別紙の翻訳証明書を添付する方法があります。翻訳者の氏名、署名、連絡先、作成日などの記載を求められることもあります。

ただし、翻訳証明は、国や自治体が訳文の正確性を認定する日本国内の統一的な制度ではありません。また、世界共通の様式があるわけでもありません。

誰が翻訳できるか、どのような証明文を記載するか、公証まで必要かは、提出する国や手続によって異なります。

例えば、米国の移民ビザ手続では、英語以外の書類に添付する翻訳について、翻訳が正確であることと、翻訳者が翻訳する能力を有することを示す、翻訳者の署名入りの証明が求められています。

「翻訳証明付き」と書かれていても内容を確認しましょう

翻訳サービスの案内に「翻訳証明付き」と書かれていても、その証明書が提出先の指定する様式や条件を満たしているとは限りません。

依頼前に、提出先の案内、指定の証明文、翻訳者の資格、公証の要否を確認し、翻訳の依頼先へ共有しましょう。

戸籍謄本と住民票のどちらを提出する?

戸籍と住民票では、証明できる内容が異なります。

戸籍は、出生、死亡、親子関係、婚姻、離婚などの身分関係を証明する書類です。住民票は、現在の住所や世帯構成などを証明する書類です。

証明したい内容 候補となる書類
出生 戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、出生届受理証明書など
親子関係 戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、必要に応じて除籍謄本・改製原戸籍など
婚姻・離婚 戸籍全部事項証明書、除籍謄本、婚姻届・離婚届受理証明書など
現在の住所 住民票
世帯構成 世帯全員の住民票など

海外の案内に「Birth Certificate」や「Marriage Certificate」と書かれていても、戸籍謄本の英訳を提出すれば必ず足りるとは限りません。

例えば、米国国務省の日本向け国別書類案内では、日本の出生関係書類として、戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、出生届受理証明書が案内されています。

提出先の国別書類案内や申請要領を確認し、日本についての具体的な指定が見つからない場合は、提出先へ問い合わせましょう。その際は、「出生の事実」「現在の婚姻関係」「過去の婚姻・離婚歴」「親子関係」など、何を証明するための書類なのかを伝えることが重要です。

戸籍全部事項証明書と個人事項証明書の違い

戸籍全部事項証明書は、その戸籍に記載されている全員の事項を証明する書類です。戸籍個人事項証明書は、戸籍に記載されている特定の人に関する事項を証明します。

本人の情報だけで足りるのか、配偶者、父母、子などとの関係まで示す必要があるのかによって、必要な書類が変わります。

個人事項証明書で足りるか判断できない場合は、提出先へ、誰についてのどの情報を示す必要があるのか確認してください。

現在の戸籍だけでは過去の履歴が分からないことがある

婚姻、離婚、転籍、戸籍の改製などがあると、以前の戸籍に記載されていた事項の一部が、現在の戸籍には記載されていないことがあります。

過去の婚姻・離婚歴、養子縁組・離縁、以前の戸籍から除かれた家族などの記録を証明する場合は、除籍謄本や改製原戸籍が必要になることがあります。

まず海外の提出先に、どの時点までの履歴を証明する必要があるのか確認します。そのうえで、本籍地の市区町村の戸籍窓口に、「海外提出のため、〇年頃の婚姻歴が分かる戸籍が必要です」などと具体的に伝えると、必要な記録が記載された戸籍を特定しやすくなります。

市区町村の窓口では、必要な記録がどの戸籍に記載されているかを確認できますが、その書類が海外の提出先に受理されるかどうかまでは判断できません。最終的な必要書類は、提出先の案内や回答に従ってください。

住民票は必要な項目を指定して取得する

住民票には氏名、生年月日、住所などが記載されますが、世帯主との続柄、本籍・筆頭者、外国人住民の国籍・地域や在留資格などは、請求時に指定しなければ省略されることがあります。

家族関係、世帯構成、在留状況を示すために使用する場合は、提出先に必要な項目を確認したうえで、市区町村へ記載項目を指定して請求しましょう。

一方、提出先から求められていない限り、マイナンバーや住民票コードを記載する必要はありません。必要以上の個人情報を海外へ提出しないためにも、取得前の確認が大切です。

戸籍謄本・住民票の英訳で注意したいこと

氏名はパスポート表記とそろえる

氏名のローマ字表記は、パスポートや海外の申請書で使用している表記にそろえます。

英訳を翻訳会社や翻訳者へ依頼する場合は、本人のパスポート表記を依頼先へ事前に伝えてください。

配偶者や父母など、戸籍に記載された本人以外の氏名についても、パスポート等で正式なローマ字表記を確認できる場合は、その表記を共有します。

自分で英訳する場合も、パスポート、申請書、過去に提出した書類の間で、氏名の順序やローマ字表記が一致しているか確認しましょう。

本籍・筆頭者・世帯主を混同しない

戸籍の「本籍」は、現在住んでいる住所とは異なります。また、戸籍の「筆頭者」と住民票の「世帯主」も別の概念です。

戸籍謄本と住民票を同時に英訳する場合は、それぞれの用語を混同しないよう注意しましょう。

原文の記載を勝手に省略しない

英訳では、氏名や身分事項だけでなく、書類名、発行日、発行者、証明文、公印、訂正事項なども、原文に記載されていることが分かるように示します。

一見すると提出手続に関係がないように見える記載でも、翻訳者の判断で省略すると、原文と訳文の対応関係が分からなくなることがあります。

日付と和暦の換算を確認する

和暦を西暦へ換算する場合は、出生、婚姻、離婚、届出、発行などの日付に誤りがないか確認します。

特に、戸籍には複数の日付が記載されることがあるため、どの日付がどの出来事に対応するのかを区別して訳しましょう。

原文と訳文の対応が分かるレイアウトにする

訳文は、原文のどの欄を訳したものか分かるように整えます。

原本と完全に同じデザインを再現する必要があるとは限りませんが、見出し、項目名、記載内容の対応が確認しやすいレイアウトにすることが大切です。

翻訳証明・公証・アポスティーユの違い

翻訳証明、公証人による認証、アポスティーユ・公印確認は、それぞれ証明する対象が異なります。

手続 主に証明するもの
翻訳証明 訳文が原文を正確に翻訳したものであることを、翻訳者などが表明する
公証人による認証 翻訳者が作成した宣言書などの私文書について、署名等が本人のものであることなどを公証人が証明する
アポスティーユ・公印確認 戸籍謄本や住民票などの日本の公文書に押された公印について、外務省が証明する

翻訳証明は訳文に関するものですが、アポスティーユや公印確認は、日本の官公署や自治体などが発行した公文書に対する外務省の証明です。

外務省の証明は、公文書に押された公印の真正性を確認するものであり、その公文書に記載された内容そのものや、添付された英訳の正確性を保証するものではありません。

戸籍謄本等の英訳について公証を求められた場合は、翻訳者が、翻訳内容に関する宣言書を作成して署名し、その宣言書について公証人の認証を受ける方法があります。

この場合、公証人が直接認証する対象は戸籍謄本や訳文の内容ではなく、私人が作成した宣言書です。公証人が訳文の正確性そのものを保証するわけではありません。

必要な手続の組合せは提出先によって異なります。アポスティーユと公印確認の違いや、領事認証までの流れについては、次の記事で詳しく解説しています。


アポスティーユとは?公印確認との違いや必要になる場面を解説

原本と訳文を綴じる前に認証方法を確認しましょう

アポスティーユや公印確認を受ける予定がある場合は、戸籍謄本や住民票の原本と訳文を自己判断でホチキス留めしたり、原本へ書き込んだりしないよう注意してください。

外務省では、公文書に翻訳文を添付した場合は私文書として扱われます。また、ホチキスを外した跡や書き込みなど、加工された公文書は受け付けられません。

日本語の公文書だけにアポスティーユ等を取得するのか、翻訳を含む書類について別の認証手続が必要なのかを、提出先へ確認してから準備を進めましょう。


アポスティーユ・公印確認の詳しい解説を見る

海外提出書類を準備する基本的な流れ

  1. 提出先の案内を確認する
    必要な日本の書類、翻訳者の条件、原本の形式、認証の要否を確認します。
  2. 必要な戸籍・住民票を特定する
    何を証明するのかに応じて、全部事項証明書、個人事項証明書、除籍謄本、住民票等を選びます。
  3. 原本を取得する
    提出先が指定する発行期限や記載項目を確認してから取得します。
  4. 翻訳方法を決める
    本人翻訳が可能か、第三者への依頼が必要か、証明文に指定があるかを確認します。
  5. 必要な認証を受ける
    公証、アポスティーユ、公印確認、領事認証等が必要な場合は、指定された順序で手続します。
  6. 原本と訳文を最終確認する
    氏名、日付、証明文、署名、書類の組合せに不足がないか確認して提出します。

特に、翻訳とアポスティーユ等のどちらを先に行うかは、必要とされる認証の対象によって変わります。自己判断で原本と訳文を綴じず、提出先の指示を確認しましょう。

戸籍謄本・住民票などの英訳でお困りの方へ

Aime行政書士事務所では、法律翻訳の経験を生かし、戸籍謄本、住民票、受理証明書などの英訳・翻訳証明書の作成についてご相談を承っています。

提出先の案内や書類の内容を確認したうえで、対応の可否とお見積りをご案内します。

ご相談の際は、可能な範囲で、翻訳を希望する書類、提出先の案内やURL、希望納期をお知らせください。


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よくある質問

古い戸籍も英訳する必要がありますか?

過去の婚姻・離婚歴、親子関係、戸籍の異動などを証明する場合は、現在の戸籍だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍の取得・英訳が必要になることがあります。

どの時点までの記録が必要かを、先に提出先へ確認しましょう。

アポスティーユがあれば翻訳証明は不要ですか?

アポスティーユと翻訳証明は役割が異なるため、アポスティーユがあれば必ず翻訳証明が不要になるわけではありません。

アポスティーユを取得した日本語原本について、別に翻訳証明付きの訳文を求められることもあります。反対に、翻訳証明だけで足り、アポスティーユが不要な手続もあります。

アポスティーユは英訳にも付けてもらえますか?

戸籍謄本や住民票などの日本の公文書に翻訳文を添付すると、外務省の手続上は私文書として扱われます。

日本語原本に対するアポスティーユ等でよいのか、翻訳を含む書類について公証等が必要なのかを、提出先へ確認してください。

「住民票の写し」はコピーを提出すればよいですか?

「住民票の写し」は、本人が住民票をコピーしたものという意味ではありません。

「写し」という名称ですが、市区町村が住民基本台帳に記録されている内容を証明して交付する、公的な証明書そのものを指します。

提出先からコピーやPDFでもよいと案内されていない限り、市区町村から交付された「住民票の写し」そのものを用意してください。自分でコピーしたものを提出してよいかは、あらかじめ提出先へ確認しましょう。

まとめ

  • 戸籍謄本や住民票を英訳する前に、何を証明するのかを明確にする
  • 必要な日本の書類、翻訳者の条件、原本の形式は提出先へ確認する
  • 提出先が本人翻訳を認めていれば、自分で英訳できる場合もある
  • 行政書士や翻訳会社へ依頼しても、提出先の条件を満たしていなければ受理されるとは限らない
  • 戸籍と住民票では証明できる内容が異なる
  • 過去の履歴を証明する場合は、除籍謄本や改製原戸籍が必要になることがある
  • 住民票は必要な記載項目を確認してから取得する
  • 翻訳証明、公証、アポスティーユ等はそれぞれ役割が異なる
  • 認証を予定している場合は、原本と訳文を自己判断で綴じない

海外提出書類は、同じ国へ提出する場合でも、手続や提出先によって必要な条件が異なります。

書類を取得・翻訳した後で不足に気付くと、再取得や再翻訳が必要になります。まず提出先の公式案内を確認し、不明点があれば提出先から回答を得たうえで準備を進めましょう。

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執筆・確認:行政書士 石田文子
最終確認日:2026年8月2日

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