古物商の本人確認義務とは?1万円未満の例外品目・ネット買取・フリマ仕入れの落とし穴

古物商

古物商として中古品を買い取るときは、取引相手の本人確認が必要になることがあります。

ただ、古物商の本人確認義務は少しわかりにくいです。

「1万円未満なら本人確認はいらないの?」
「ネット買取なら免許証コピーを送ってもらえばいい?」
「メルカリやヤフオクで仕入れる場合も本人確認が必要?」
「ゲームソフトや本も1万円未満なら大丈夫?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、古物商の本人確認は、単に「1万円以上かどうか」だけで判断するものではありません。

1万円未満でも本人確認が必要な品目があります。ネット買取・宅配買取のような非対面取引では、免許証コピーを送ってもらうだけでは足りません。フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合も、本人確認が必要になることがあります。

この記事では、古物商の本人確認義務について、1万円未満の取引、ネット買取、フリマアプリ仕入れ、未成年からの買取など、実際に迷いやすいケースを中心に解説します。

まず確認|古物商の本人確認が必要なケース早見表

まずは、自分の取引がどれに近いか確認してみましょう。

取引の場面本人確認の要否注意点
店頭で1万円以上の古物を買い取る原則必要住所・氏名・職業・年齢を確認
店頭で1万円未満の古物を買い取る原則不要ただし例外品目あり
ゲームソフト・CD/DVD等・書籍を買い取る1万円未満でも必要帳簿等への記載も必要
バイク・原付・一部部品を買い取る1万円未満でも必要汎用部品などは扱いに注意
エアコン室外機・ヒートポンプを買い取る1万円未満でも必要令和7年10月1日施行の改正で追加
電線・金属製グレーチングを買い取る1万円未満でも必要電線は家庭用ケーブル等とは区別
ネット買取・宅配買取をする非対面取引の本人確認が必要免許証コピーだけでは不可
フリマアプリ・ネットオークションで仕入れる必要になる場合あり1万円以上や例外品目では本人確認が必要。匿名取引では確認が難しい
18歳未満の可能性がある相手から買い取る年齢確認が重要1万円未満でも確認が必要
法人から買い取る法人担当者の確認も必要法人そのものだけ見ればよいわけではない

ポイントは、1万円未満ならいつでも本人確認不要、ではないということです。

特にネット買取やフリマアプリ仕入れは、「画面上で取引しているから大丈夫」と考えると危険です。

古物商の本人確認義務とは

古物商の本人確認義務とは、古物を買い受けるときに、取引相手の情報を確認する義務です。

古物商は、古物を買い受ける際、原則として取引相手について次の事項を確認します。

  • 住所
  • 氏名
  • 職業
  • 年齢

本人確認が求められるのは、盗品などが古物市場に流れるのを防ぐためです。

中古品の売買では、盗品が持ち込まれる可能性があります。そのため、古物商には「誰から買い取ったのか」を確認し、必要に応じて帳簿等に記録する義務があります。

ここで注意したいのは、本人確認義務は「一般のお客様から買い取るとき」だけの話ではないという点です。

古物商同士の取引や、リサイクルショップから仕入れる場合でも、相手方確認義務が当然に免除されるわけではありません。

また、インターネットオークションやフリマアプリで古物を仕入れる場合も、古物商として買い受ける以上、本人確認が必要になることがあります。

本人確認が必要か迷ったときの判断フロー

本人確認が必要か迷ったときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 古物を「買い受ける」取引か
  2. 対価の総額が1万円以上か
  3. 1万円未満でも例外品目に当たるか
  4. 対面取引か、非対面取引か
  5. 18歳未満からの買取でないか
  6. 帳簿等への記載も必要か

まず、古物商が中古品を買い取る、仕入れる、下取りするような場面では、本人確認義務が問題になります。

次に、買い受ける古物の対価の総額を確認します。

1万円以上であれば、原則として本人確認が必要です。

ここでいう「対価の総額」は、1点ごとの価格ではありません。一度に持ち込まれた物品の合計額で判断します。

たとえば、1点3,000円の商品を4点まとめて買い取る場合、1点ごとは1万円未満でも、合計額は1万2,000円です。この場合は、1万円以上の取引として考えます。

対価の総額が1万円未満でも、ゲームソフト、CD・DVD等、書籍、バイク・原付や一部部品などは本人確認が必要です。

さらに、令和7年10月1日施行の改正により、エアコン室外機、電気温水機器のヒートポンプ、電線、金属製グレーチングも対象に追加されています。

1万円未満なら本人確認は不要?

「1万円未満なら本人確認はいらない」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

たしかに、買い受ける物品の総額が1万円未満の場合、本人確認や帳簿等への記載は原則として免除されます。

ただし、これはあくまで原則です。

次のような品目では、1万円未満でも本人確認や帳簿等への記載が必要になります。

品目1万円未満でも本人確認が必要か
バイク・原付必要
バイク・原付の一部部品必要になるものあり
ゲームソフト必要
CD・DVD等必要
書籍必要
エアコン室外機必要
電気温水機器のヒートポンプ必要
電線必要
金属製グレーチング必要

「安いから本人確認はいらない」と単純に考えるのは危険です。

特に、ゲームソフト、本、CD・DVD等を扱う中古ショップや、金属製品を買い取る事業者は、1万円未満でも本人確認が必要になる場面を押さえておきましょう。

令和7年10月1日施行の改正で追加された物品

令和7年10月1日施行の古物営業法施行規則改正により、1万円未満でも本人確認・帳簿等への記載が必要な物品に、次のものが追加されました。

  • エアコンディショナーの室外ユニット、いわゆる室外機
  • 電気温水機器のヒートポンプ
  • 電線
  • グレーチング、金属製のものに限る

背景には、金属類の盗難被害があります。

室外機、電線、グレーチングなどは、盗難被害が問題になりやすい物品です。1万円未満で取引される場合でも、盗品が古物市場に流入するリスクがあります。

そのため、これらの物品については、金額の多寡にかかわらず相手方確認義務等の対象になりました。

電線はどこまで含まれる?

電線については、素材は銅線・アルミ線などを問いません。

ただし、LANケーブル、テレビ接続ケーブル、家庭用の延長コード、充電ケーブルなどは、一般的な「電線」とは別のものとして扱われ、対象外とされています。

つまり、家電量販店で売られているような家庭用ケーブルまで何でも対象になるわけではありません。

グレーチングは金属製に限る

グレーチングとは、主に側溝などの排水施設のふたとして使われる格子状のものです。

対象になるのは、金属製のグレーチングです。

コンクリート製やFRP製のものは、この改正による対象には含まれません。

店頭買取での本人確認方法

店頭で古物を買い取る場合は、相手と直接会って本人確認を行います。

実務上は、買取申込書などに住所・氏名・職業・年齢を記入してもらい、本人確認書類の内容と照合する形がわかりやすいです。

本人確認書類としては、たとえば次のようなものがあります。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 在留カード
  • その他、公的な本人確認書類

本人確認が必要な取引では、単に身分証を見て終わりではなく、帳簿等への記載も意識する必要があります。

確認した情報と、実際に買い取った古物の情報があとから追えるようにしておきましょう。

マイナンバーカードを本人確認書類として使う場合の注意点

本人確認書類としてマイナンバーカードを確認する場合は、裏面の取り扱いに注意が必要です。

マイナンバーカードの裏面には、マイナンバー、つまり個人番号が記載されています。

本人確認のためにマイナンバーカードを確認する場合でも、裏面の個人番号をコピーしたり、画像で送ってもらったりしないようにしましょう。

実務上は、表面で住所・氏名・生年月日等を確認し、個人番号は取得・保存しない扱いにしておくことが大切です。

ネット買取・宅配買取の本人確認は要注意

ネット買取や宅配買取のように、相手と直接会わずに古物を買い受ける取引を、非対面取引といいます。

非対面取引では、店頭買取より本人確認のハードルが上がります。

よくある誤解が、

「免許証のコピーを送ってもらえば大丈夫」
「本人確認書類の画像をメールで送ってもらえば大丈夫」
「住所・氏名を書いてもらえば大丈夫」

というものです。

しかし、非対面取引では、相手が申し立てた住所や氏名が本当に正しいのか、なりすましではないかを確認する必要があります。

免許証コピーや住民票の写しを送ってもらうだけでは足りません。

非対面取引で使われる本人確認方法には、たとえば次のようなものがあります。

  • 印鑑登録証明書と押印書面を送ってもらう方法
  • 本人限定受取郵便物等を送付し、到達を確認する方法
  • 簡易書留等を使って住所への到達を確認する方法
  • 本人名義の口座への振込と組み合わせる方法
  • 電子署名や電子証明書を使う方法
  • eKYCなどの本人確認サービスを利用する方法

たとえば、本人確認書類のコピーを送ってもらったうえで、その住所宛てに転送不要の簡易書留で受付番号を送付し、相手からその番号を電話やメール等で連絡してもらう方法があります。

これは、書類上の住所に実際に郵便物が届くかを確認するための方法です。

ただし、非対面取引の本人確認方法には細かい要件があります。

「似たようなことをしているから大丈夫」と自己判断するのは危険です。ネット買取を始める前に、どの本人確認方法で運用するのかを決めておきましょう。

電子署名・電子証明書を使う本人確認方法もある

非対面取引の本人確認方法には、電子署名や電子証明書を使う方法もあります。

これは、売主にマイナンバーカード等を使って電子的に署名してもらい、古物商側で電子証明書の有効性や署名内容を確認する方法です。

ただし、この方法を自前で導入するには、署名検証などの仕組みが必要になります。一般の個人事業主が、メールフォームだけで簡単に使える本人確認方法ではありません。

そのため、ネット買取を始める場合は、電子署名方式に限らず、本人限定受取郵便、簡易書留による到達確認、古物営業法に対応した本人確認サービスの利用など、実際に運用できる方法を事前に確認しておくことが大切です。

フリマアプリ・ネットオークション仕入れは大丈夫?

フリマアプリやネットオークションで古物を仕入れる場合も、本人確認が必要になることがあります。

特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 1万円以上の古物を仕入れる場合
  • ゲームソフト・CD/DVD等・書籍などを仕入れる場合
  • バイク・原付や一部部品を仕入れる場合
  • 電線・室外機・金属製グレーチングなどを仕入れる場合
  • 匿名配送やニックネームで相手の情報が確認できない場合

フリマアプリやネットオークションでは、相手の住所・氏名・職業・年齢を、古物営業法で求められる形で確認できないことがあります。

匿名配送では、相手の住所や氏名が見えません。

そのため、本人確認が必要な取引であるにもかかわらず、匿名配送やニックネーム取引で相手方確認ができない場合は、仕入れ方法として避けたほうが安全です。

一方で、1万円未満で、本人確認が必要な例外品目にも当たらない取引であれば、古物営業法上の相手方確認義務が免除されるケースもあります。

ただし、フリマアプリやネットオークションでは、相手がニックネームや匿名配送を利用していることも多く、18歳未満でないことや、盗品の疑いがないことを画面上だけで判断するのは簡単ではありません。

特に、古物商として継続的に仕入れる場合は、「1万円未満だから大丈夫」と考えるのではなく、相手や商品に不自然な点がないか、本人確認が必要な品目ではないか、未成年者からの買取に当たらないかを確認することが大切です。

本人確認が不要とされる取引であっても、匿名性が高く確認できる情報が少ない取引は、仕入れ先として慎重に判断したほうが安全です。

18歳未満からの買取に注意

古物商は、1万円未満の取引であっても、18歳未満からの買い取りでないことを確認する必要があります。

「1万円未満だから本人確認はいらない」と思っていても、年齢確認の問題は残ります。

また、未成年者からの買取については、古物営業法だけでなく、各都道府県の青少年保護育成条例なども関係します。

たとえば、東京都では、保護者の同意等を得ていない青少年から古物を買い受けることは禁止されています。

そのため、実務上は、18歳未満からの買取については保護者の同意書を求める、または18歳未満からの買取自体を行わないルールにしておくと安全です。

特に、ゲームソフト、書籍、CD・DVD等、フリマアプリ取引などでは、相手が未成年かどうか見えにくいことがあります。

年齢確認があいまいなまま取引を進めるのは避けましょう。

法人から買い取る場合も確認が必要

法人から古物を買い取る場合も、本人確認を簡単に考えすぎないようにしましょう。

法人相手の取引では、法人そのものの確認だけでなく、実際に取引を担当する人についても確認が必要になります。

取引担当者の住所・氏名・年齢・職業を確認し、法人の担当者として取引していることを説明できるようにしておくことが大切です。

必要に応じて、法人の登記事項証明書や委任状などの確認が問題になることもあります。

本人確認を怠った場合のリスク

本人確認を怠ると、古物営業法違反になる可能性があります。

特に非対面取引では、「免許証コピーを送ってもらったから大丈夫」と思っていても、法令で定められた確認方法を満たしていなければ、確認を行ったことにはなりません。

また、盗品の処分先として利用された場合、古物商自身もトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

本人確認は、単なる事務手続きではありません。

「誰から、何を、いくらで買い取ったのか」を後から説明できるようにしておくことは、古物商自身を守るためにも重要です。

よくある質問

1万円未満なら本人確認は不要ですか?

原則として、対価の総額が1万円未満の場合は、本人確認や帳簿等への記載が免除されます。

ただし、ゲームソフト、CD・DVD等、書籍、バイク・原付や一部部品、エアコン室外機、ヒートポンプ、電線、金属製グレーチングなどは、1万円未満でも本人確認が必要です。

また、1万円未満でも、18歳未満からの買い取りでないことは確認する必要があります。

1万円未満かどうかは、1点ごとの価格で判断しますか?

いいえ。

1万円未満かどうかは、1点ごとの価格ではなく、一度に持ち込まれた物品の合計額で判断します。

たとえば、1点3,000円の商品を4点まとめて買い取る場合は、合計1万2,000円なので、1万円以上の取引として考えます。

ネット買取では免許証コピーを送ってもらえば大丈夫ですか?

免許証コピーや本人確認書類の画像を送ってもらうだけでは不十分です。

非対面取引では、相手が申し立てた住所・氏名等が真正なものか、なりすましではないかを確認するため、法令で定められた方法をとる必要があります。

メルカリやヤフオクで仕入れても大丈夫ですか?

フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合も、古物商として買い受ける以上、本人確認が必要になることがあります。

匿名配送やニックネームでの取引では、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認できないことがあります。

本人確認が必要な取引について、必要な確認ができない場合は、仕入れ方法としてリスクが高いと考えておきましょう。

古物商同士なら本人確認は不要ですか?

古物商同士の取引であっても、相手方確認義務が当然に免除されるわけではありません。

古物商が仕入れのためにリサイクルショップ等で古物を購入する場合でも、相手方の確認が必要になります。

マイナンバーカードを本人確認書類として使う場合、コピーしてもよいですか?

本人確認書類としてマイナンバーカードを確認する場合でも、裏面の個人番号をコピーしたり、画像で送ってもらったりしないように注意が必要です。

確認・保存する必要がある情報と、取得してはいけない情報を分けて管理しましょう。

本人確認をしたら帳簿にも記載が必要ですか?

本人確認が必要な取引では、帳簿等への記載もあわせて問題になります。

特に、1万円未満でも本人確認が必要な例外品目では、帳簿等への記載も必要になります。

帳簿の記載事項や保存期間については、別の記事で詳しく解説します。

同じ人から何回も買い取る場合、毎回本人確認が必要ですか?

初回取引で所定の本人確認を行い、その後に同じ相手を識別でき、第三者がなりすますことが困難な方法をとる場合には、改めて同様の措置をとらなくてよいケースがあります。

ただし、どのような方法なら認められるかは取引形態によって変わります。

会員IDやパスワード、生体認証、顔写真付き会員証など、本人確認済みの相手を識別できる仕組みを整える必要があります。

単に「前に取引したことがあるから大丈夫」と考えるのは避けましょう。

まとめ

古物商の本人確認義務は、「1万円以上なら必要、1万円未満なら不要」と単純に分けられるものではありません。

1万円未満でも、ゲームソフト、CD・DVD等、書籍、バイク・原付や一部部品、エアコン室外機、ヒートポンプ、電線、金属製グレーチングなどは本人確認が必要です。

また、ネット買取・宅配買取のような非対面取引では、免許証コピーを送ってもらうだけでは足りません。

フリマアプリやネットオークションで仕入れる場合も、本人確認が必要な取引であれば、相手方の住所・氏名・職業・年齢を法令に沿って確認できるかが問題になります。

古物商として安全に営業するためには、

  • 本人確認が必要な取引か
  • 1万円未満でも例外品目に当たらないか
  • 対面取引か非対面取引か
  • 18歳未満からの買取でないか
  • 帳簿等への記載が必要か

を、取引前に確認しておくことが大切です。

本人確認は、盗品取引を防ぎ、自分自身を守るための重要な義務です。